ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第9章:戦争

第2節:戦争の記録

比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 (1939)

都々逸

               田幡清次郎

棘の中にも花咲く茨よ
   知らず手を出しや怪我をする

人の振見て我が振り直せ
       桜花見て色直せ

腹に実の無い瓢箪さへも
   胸に括りがつけてある

夜半に嵐の吹くとも知らず
       咲いて笑ふた山桜

梅の匂ひを桜にこめて
       枝垂れ柳に咲せたい

口でけなして心でほめて
   人目しのんで見る写真

人に頼めば浮名が恐し
   二人じゃ文殊の知恵も出ぬ

思案する程思案は出ずに
   たまに出るのは愚痴ばかり

初年は冗談中頃義理で
   今ぢゃたがへに実と実

ゆめに見るよぢゃ惚よがうすい
       真に惚れたら眠られぬ

意見聞く時や頭を下げな
   下げりゃ意見が上を越す

人に物言や油の雫
   落ちて広がる何処までも
            (曲全集より)

比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 1939年(昭和14)12月
このページの先頭へ ▲