第6巻【近世・近代・現代編】- 第9章:戦争
比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 (1939)
俳句
古里 安藤武治
秋晴れや赤誠こもる千社札
出征の子の陰膳や今朝の飯
秋の風稔る稲穂を渡りけり
晴朝に銃後の我等馬草刈る
戦争の話に更ける秋の夜
日曜に来ては社頭にぬかずけり
秋晴に応召の旗はためきり
戦線と銃後を結ぶ総力線(戦)供出の梅干出すものも戦線の勇士の辛苦思へばこそ
比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 1939年(昭和14)12月
仕事終へ心の安さ夕の鐘耳に止めつつ手を洗ひ居り
生くる日の僅かばかりといと惜しみ血を吸ひる蚊逃しけり
宵月の光ほのけき物干の忘れしものを取りに出てけり
晩秋蚕銃後取る気持で増産を目ざしてやれど病蚕が出来てがっかりうなだれる
(終り)