第6巻【近世・近代・現代編】- 第9章:戦争
比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 (1939)
青年の進むべき道
七郷青年団長・阿部寳作
日支事変も更に第二、第三の段階に入り、いよいよ長期交戦が続けられる事が明になったこの時、我等青年は益々挙国一致、堅忍持久の志を堅し、心を一に国難打開に邁進せねばならぬ事は、今更私が申上るまでもない。一度北支、中支、南支に亘って海に陸に絶いざる勇戦を続け、前代未聞の戦果を収めつつある皇軍将士の功績、労苦、辛酸を思ふ時、我銃後青年の緊張、努力は如何であらうか。我等は精神的にも、物質的にも、団体的にも銃後の守りを固くし、東亜永遠の平和樹立の為にあらゆる苦境をもしのび、終局の目的貫徹の覚悟がなくてはならぬ。即ち、我等は日常の生活を通して、後顧の憂なからしむる事が目下の急務である。
比企郡七郷村青年団『青年団報』第2号 1939年(昭和14)12月
修養とは人の生涯を通してこの修養の効果を発揚して行く為の修養でなくてはならぬ。是れが最も大切な修養の眼目である。
最近あらゆる方面より日本精神を教育せらる。この日本精神は唯道を説き、徒(いたづら)に之れを論ずるだけでは何の効果もない。即ちまず実行である。聖人の書を読み、道を聞いても聖人にはなれない。そこに銘々の努力が要る。奮起が要る。忍耐が要る。各々心を励まし、奮起努力してこそ時局を打開し、非常時を克服する事ができるのである。
我等は先ず我が周囲を能く再検討する事が必要である。時局下の青年として最も真面目に我等の受持ちを尽くしてをるかどうか、一々反省してみる事が銘々の修養を実際に活(いか)し実行して行く事であって、銃後の守りを固くし、日本肇国(ちょうこく)の精神を実際の上に現して行く、貴い我等青年の使命であると思ふ。
掲載にあたり句読点を付け加えた。