第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
日本赤十字奉仕団
婦人のページ
赤十字奉仕団をご存じですか
ボランティアの別名のような赤十字奉仕団について、多くの人たちに知っていただこうと、嵐山町の赤十字奉仕団結成以来ずっと奉仕活動に力を注いでこられたひとり、菅谷の反町葉子さん(嵐山町赤十字奉仕団委員長)に話を聞いてみました。
博愛人道の赤十字奉仕団
問 赤十字奉仕団とは、どんな団体なのですか。
反町 赤十字の博愛人道の精神に基づき、明るく住みよい社会を築くために、より必要でより実際的な事業に奉仕する団体です。わかりやすくいいますと、すべての人々と手をつないで、人それぞれの幸せを願う全国的なボランティア組織です。
問 結成されたのはいつごろですか。
反町 埼玉県では、明治二十年に県委員部の名で創設され、ちょうど百周年を迎えました*1。嵐山町は二十年目になります。
問 嵐山町の団員数は。
反町 二百八十八名です。
問 ずいぶんおおぜいいるようですが。
反町 ええ。でも皆さん多忙の毎日ですので、できる人が、できる時、できるだけの奉仕活動に協力しています。大変感謝しております。
問 日ごろの活動はどんなことをしているのですか。
反町 嵐山町の寝たきり老人や独居老人へ年二回の慰問と、慰問品づくり、年四回の給食サービス、敬老会の接待、これらはとても喜ばれています。また、河原や道路の清掃、乳児院、養護施設、老人ホーム、障害者福祉センターなどへの視察研修と、地域内はもとより、地域外への奉仕団が受け持つ活動の意味と力は大きなものがあります。しかし、これもまた、奉仕団だけではなく、いろいろな団体との協力や援助関係が嵐山町はうまくいっているからといえます。愛の一円玉募金
問 日ごろ心がけていることがありますか。
反町 団員がいつも心がけて集めているのが、一円玉です。愛の心が大きな金額になり、社会福祉活動のお役にたっています。
私たちの活動は、本当に地味なものなんですよ。婦人の団体ですので、女でもできる、女しかできない奉仕活動を、と常にくふうしています。共に生きる社会として
問 今後の奉仕団の役割は。
『嵐山町報道』361号「婦人のページ」 1988年(昭和63)2月25日
反町 高齢化社会の到来は、諸外国に例をみない速度で進み、もう世界の代表的な長寿国だそうです。六十五歳以上の人口はまもなく総人口の一〇%を超えようとしおり、昭和八十年(2005)には総人口の一五%を超え、国民の六人に一人は六十五歳以上の者になるとか…。
さらに、老人問題を複雑にしているのは、核家族の増加、人口の都市集中、住宅事情の窮迫などで、高齢者世帯やひとり暮しの老人が嵐山町でも年々増加しています。
共に生きる社会として、老人が社会活動に参加し、生きがいを高めることができる活動を、積極的に進めることがこの町でも切望されています。また、これらの活動が老人を含めて多くの人々の生命と健康を守ることにつながると思います。奉仕団がもっとたよりにされる組織になるかどうかは、今後の課題です。
赤十字奉仕団へあなたの力をかしてください。
*1:『赤十字埼玉百年史』が1988年(昭和63)3月に発行されている。その年表によれば、1863年、アンリーデュナンの提案により国際赤十字が誕生。日本赤十字社は1877年(明治10)5月に博愛社として創立、1887年(明治20)5月24日、社名を改称して日本赤十字社となる。日本赤十字社埼玉県支部は、1887年(明治20)12月5日、埼玉県知事吉田清英を委員長として日本赤十字社埼玉県委員の事務所が県庁内に設置(社員8名)、1896年(明治29)7月1日、日本赤十字社埼玉県支部に改称とあるので、1887年を日本赤十字社埼玉県支部の創立年としていることがわかる。