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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第3節:法人組織

菅谷地区・七郷地区母子愛育班合同体験発表会(1965年)

高血圧の料理講習を実施して

            越畑支部 関口節

 年度初め役員会に於て各部落でとりあげる事業は何かと会長さんからお話しがありましたので、私の部落では馬場さんと話しあい、高血圧の料理講習をお願いいたしました。私自身が高血圧にて10年近くお薬の世話になっておりますので、いくら血圧を測っても食事も気をつけなければならぬ事を聞いておりますので、部落にも高血圧でなやんでおられる人もおります関係上、その人達にも知って頂きたかったのです。
 近ごろ癌でなくなる人も多くなりましたが、それにもまして脳卒中でなくなる方が人口1万に対し25パーセントとのこと、今年も寒波のためか高血圧の人が急にふえたかと思うほど、倒れた人、亡くなられた人のはなしを耳にします。「昨日まで、人の事だと思いしに、今日は我が身か、こいつたまらん」と歌のように他人事でなくて、一家をあずかる私達、お互いに注意をしたいと思います。そこで前にお願いいたしました保健所からのわかあゆ号にきて頂き、栄養指導をしていただきました。包丁さばきもあざやかに、見ている私達がはずかしくなるほどのお手なみでした。料理の種類は野菜ジュース、蕎麦かきなべ、さつまのリンゴ入きんんとん等を作りながら、いろいろと高血圧に悪い塩分は、塩大さじ1杯が醤油大さじ5杯と同等に使えること、味噌汁は1椀に対し大さじ1杯の味噌であることなどを説明してくれました。
 農村ではばっかり食になり易い傾向になり、いけないと云われますが、何でも手近な野菜をたくさん入れ、油と粉でルウを作って入れれば肉がなくともおいしくいただけます。次に食べ過ぎぬこと。豚と人間に腹いっぱい食べさせて調べてみたら、豚にはまだ入る余裕があったが、人間にはなく食べていた事に皆で笑いながらも何か豚に劣るように感じました。
 テキストを頂き、おいしそうな料理を見て、前の坊やも思わずうまそうだなあとつぶやく程、どれを見ても作って見たいと思う物ばかりですが、いざとなると簡単には作れませんので止めてしまいそうですが、実際に見たり教えていただきますと、頭に入いり忘れ方も少いようです。農村のひまな秋には、時々教えて頂けたらと思いました。それからこれはある人の話ですが、カレーを教えてもらい早速作って食べさせたら家中おおよろこびだったのに、おばあさんだけは「こんな猫のヘドのようなもの」と云われ、それからは作れないとのことですが、これでは何を教えていただいても何もなりません。気の毒に思いました。
 作る者の身になって心して頂きたい事だと思います。「楽しみは春の桜に秋の月、家中仲良く三度食うめし」
 健康であればこそと思います。

菅谷地区・七郷地区『母子愛育班合同体験発表会』資料 1965年2月15日
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