第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷地区・七郷地区母子愛育班合同体験発表会(1965年)
鉤虫病(十二指腸虫)を体験して
杉山支部 小林さだ
自分の体験談をお話しいたします。私は20年前、体の具合が悪く、どうかと心配しながら働いているうちに前身がだるく、息切れ、浮腫などを感じるようになりました。そんな状態なので思うような仕事もできません。お母さんには他の嫁はよく働く婦だと毎日のように文句ばかり云われ、何んとつらいことかと、子供でもなければと考えた事もありましたが、4人の子供のことを思い、つらいことも我慢して働いておりました。医者に見せてもらいたいとたのんでも、子供が多くてかかりがするからそんなお金はないと云われ、何と恐ろしいのかと思いました。体の具合は悪化するばかり、5月の田植え時のことでした。あまりのつらさに又医者に見せていただきたいとたのみましたら、死んでもかまわないと云われてしまいました。疲労と衰弱のため夜目くらとなり、夕方田圃(たんぼ)から帰る時、畦道(あぜみち)から田の中へ落ちてしまいましたので、今度こそはすてておけず受診いたしました。ところが診察の結果、十二指腸虫だとのこと、すぐにお薬と下剤をいただきましたら、間もなく体は回復し、元気が出て仕事が出来るようになりました。早く診察を受けていたらこんなつらい思いはしなくても良かったのではないかと、今だに痛感しております。皆さん、十二指腸虫という虫はこのように恐ろしい虫ですから注意が大切です。唯今は予防衛生も進んで社会を明るくするために役場や保健所がいろいろのことを行って下さいますので、何とありがたいことではありませんか。心から感謝し喜んでおります。
菅谷地区・七郷地区『母子愛育班合同体験発表会』資料 1965年2月15日
現在、皆さんの中にも私と同じように十二指腸虫にかかっておられる人もあるかも知れませんが、今は社会が見捨てておきません。本当に良いことです。私はその後丈夫に働いていましたが、3年前、主人が病死した時、看護の疲れから長患いをしましたが、今年60才を越える年令となり、一家の柱として家業に励んでおります。皆さん健康が第一ですから、自分の為、家の為、人の為にも愛育班活動を通して私達の健康は私達の手でまもりぬこうではありませんか。おわりに私達一家は只今のところ前のようなつらいことは一日もなく、毎日元気に明るく楽しく働らきつづけております。