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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第3節:法人組織

菅谷地区・七郷地区母子愛育班合同体験発表会(1965年)

育児は家族の愛情で

            千手堂支部 高橋早苗

 赤ちゃんを持った人なら誰でも行き渡っている母子手帳の「育児の心得」というページに、愛情と正しい知識とを持って育てることが大切です。母親も父親も祖父母も家族の人たちがみんな気を揃えて育てよう。正しい知識を得るためには以後云々と育児の心得についてくわしく、親切にしるされております。
 乳幼児期には人格の基礎が形成され、身体の正常な発達の方向が決定されると云はれますが、そのよい個人を育て上げる基礎は、やはり家庭にあると云えるのではないでしょうか。私の家でも愛育班の皆さんに3人の子供が御厄介になりました。農家ですので農繁期等には、ともすると育児は軽視されがちな現状の中で心身共に丈夫な子供を育て上げるのは家族皆んなの協力と理解がなくては育つものではありません。農家では労力の点などから育児が自然、母親の手でできなくなる場合があります。育児に関心を持ち、暖かい愛情がみんなになかったら、やはり成長も劣ることでしょう。特に、むづかしい離乳期などは一層痛感させられます。離乳食の与え方で偏食等が生れてくるとか、小さい体の割合には多量の栄養が必要であることもみのがせないと思います。それから授乳期には良い乳を与えることだと思います。それには母親の栄養がある程度は影響すると云はれますが、その母親は勿論、家族みんなが理解して質の良い乳を与えるように心掛けるべきだと思います。農村では動物性の食品が少ないため、私の家では蛋白質やカルシュームの多い山羊乳を授乳期にはたくさん飲むように心掛けています。丈夫な子供にするには、すでに体内で赤ちゃんの体質などが決まってしまうと云われていますが、妊娠中の栄養と、農村では労働の理解など、昔から比べれば良くなっているとはいうものの、まだいろいろの点で圧迫がある現状のようです。産後の母体の保護や授乳期の母の栄養、離乳期の食事など、1つとして家族の愛情と協力がなくては、健全な育児は不可能です。家族関係が調和されていないと明るさがなく、子供の心に思いがけない深い禍根を残すことにより、発作や、けいれんを起こしやすい子供になると云われますが、まわりの人達は子供に与える影響を考えて互いにゆずり合い、望ましい環境を作るように努めたいと思います。
 育児法も年々進歩し、改善されて来ている様ですが、経験のある人達の教えを土台に正しい知識のもとで前進すべきだと思います。
 私の家でも幼稚園に行っている長女を頭に3人の子供が、完全というには程遠いかも知れませんが、何んとか健康に育っております。
 5ヶ月になった赤ん坊は、そろそろ離乳をはじめました。どの子も病気らしい病気もせず、先づは育ててよかったと云える事かも知れません。ひとえに保健婦さんをはじめ役員さん方のお骨折りと、家族の協力と理解によるものと思い、丈夫な子供になってほしいと育児に励んでいる次第です。

菅谷地区・七郷地区『母子愛育班合同体験発表会』資料 1965年2月15日
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