第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958
古くさいポスト
志賀 八木原くに
私は字の一番はづれの山の中の一軒家の農家の婦人で有ります。昔者故に自転車には乗れないし、又乗物は電車や自動車は大嫌いです。其の為に出巡り用は、主人や子供達に頼み、私は家にくすぶって農事にはげんで居りました。今迄は婦人会の事等あまり気にもとめなかった私に、今度婦人会の組の役が巡って来ました。はなれ家の為に今迄役を受けなかったので、今年は組の役をいさぎよく引受けて来ました。次に各組で役員が十名きまりました。新役員の会合がありました。一名支部の係を選ぶ事に成りましたが、今年の役員の方は私を始め、年寄の方や手間の少い方ばかりなので、何度会合してもだめだ、だめだで会散してしまい支部の係を引受けて呉れる方が有りません。手間の関係上、私にやれと言われたのですが、無学故に自分の切なさを感じ、変事をする事が出来なかったのです。でも仕方が無いので本部から連絡を受けるだけのポストに成りました。でも仕方が無いので本部から連絡を受けるだけのポストに成りました。なんだか奥歯に物がはさまった様な気持、其の気持は誰にもおわかりの事と思います。
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
スピード時代の世の中に、自転車にも乗れない昔者の私が此の役を受けたなら皆さんにもめいわくを掛ける事とはしりながら、今更これをどうする事も出来ません。若い皆さんに手を引いて戴き、そしてむつまじい婦人会として新生活運動にはげみたいと思います。
支部会員の皆さん、どうぞ古くさいポストの私に御協力をお願い致します。