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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958

先づ心の改善

            根岸 福島くら

 今の農村では井戸は水道になりお勝手万端改善され、姑も嫁も差別なく発言するというのな、まだ心の改善が一向に進まないように見受けられます。朝々のラヂオや新聞で見聞きする事ですが農家の姑さんは封建的だとか嫁を解放せよとか云われる事が絶えないようです。どうして早くよいお姑さんという事が出来ないのかと気の毒でたまらない気が致します。
 それには色々の理由もある事でしょうが、過ぎし日学校時代に「お母さん」という作文でやさしいお母さん、よいお母さん、一日として母親なくして過し難い母と子だったのに、姑嫁となると一変に裏返えしされ、ひどい姑、わるい嫁と言われるのは本当に申訳のない悲しい事です。時代は変っても心は同じです。実母以上に慕えるお姑さんと皆してよべるようそれこそ「姑の解法」に力をつくしたいのが私の願です。誰しもらくで楽しい生活は好ましいものです。然しふとした記事にも農家の嫁はドレイだと書いてあります。どうして嫁だけがドレイでしょう。一家全体が苦楽を共にしているのが農家の実情ではないでしょうか。昔からの鍬鎌農業、肉体労働から解放されつつある現在、科学のこうした進歩と共に農民の考え方も大きく変って、合理的な農村の建設が進みつつあるのひ、社会にはまだ姑と嫁の話題が絶えないのは不思議なような気がします。私達の部落では、まづ心の改善を第一にして、姑も嫁も仲良く、住みよい農村、明るい家庭の建設に向って進んで居ります。私ども若い嫁の立場として社会のあちこちから聞える農家の姑さんに対する見下げた言葉は止めて下さいと云いたいのです。そして美しい夢を未来に描きながら、平和で文化的な農村の建設に微力をつくしたいと思います。

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
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