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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958

終戦記念日に思ふ

            志賀 高橋りせ

 終戦後早十三年の歳月は流れた今日、あの恐ろしかった戦争、忘れようとしても昨日の出来事のように頭に浮かんで来ます。都市にあっては空襲の為、家を焼かれ死んで行く人、親子ばらばらになった人等、又農村にあっては食料に供出に労働に、苦労や悲しみの事がはっきり目に浮かんで来ます。皆一生忘れる事の出来ない苦しみを味わって来た事と思います。赤紙一枚で召集され戦地に送られ、一人として知人も頼る者とてなく、空しく死んで行った人の事を思いますと身も心もぞっと引きしめられます。人間と言う者は苦難を味わってこそ其の中から真に自分の生きる道を発見するものである事を身にしみて考へられます。今生きておられる人で自分を幸福だと思っている人はほとんど少数であると思われます。不幸の原因は其の大部分がお互の不信にあるのではないでしょうか。終戦後特に利己主義にはしり、自分の利益自分の幸福のみを第一に考へると言ふのが今の世の人々の多くの考へではないでしょうか。私達婦人会の皆様特に此の点に留意せられて今後の婦人会をより楽しい集いの場所にするにもこうした利己的な事のみにはしらず、「世の中は持ちつ持たれつ立つ身なり人と言う字を見るにつけても」と言う事わざのようにお互に信じ助け合って進んで行けたならと思います。

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
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