第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958
隣組の生活改善
千手堂 吉野ナヲ
生活改善は色々の方面から叫ばれて居りますが、食生活改善、住宅改善、衛生的生活改善、色々並べる事が出来ますが、私達農村ではなかなか、食生活や、住宅改善は経済的な色々の理由が御座居まして思う様には出来ないのではないでしょうか。
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
私の隣組では納税を完納致しまして、沢山の奨励金を戴いて居ります。いつか此のお金を何かに利用したいとの御話合から、しばしば話が出ましたが、なかなか話がまとまりませんでした。此の夏、集会が私の家に有りまして色々意見が出ました。最後に農家には夏になると非常に蠅(はえ)が出るのでこまると話の糸口が出ました。蠅を駆除する一方、食物に蠅をよせない様にしたらどうでしょう。それには一器づつ大きなハイチョウを備えたら衛生的に宜しかろうと全員賛成となり、ハイチョウを購入致しました。ハイチョウの表面には、納税完納記念と書き入れ、各家庭に立派に備へ付けてあります。実に良い記念品を求めて戴きました。便利で有り、生活改善を一歩ふみ出した事を心から喜んで居ります。
いつも皆さんのハイチョウの中には、何にやら御馳走が入って居りまして、気持よく清潔の品が戴けます。
これからも納税は是非共、我先にと完納し、此れ以上のお台所に役立つ物を求めて戴き度と念願する次第で御座居ます。