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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958

農村婦人と読書

               大蔵 富岡とき

 農村主婦は読書する余裕がない。とよく言われて居ります。主婦の余裕とは有るようで無いのであります。こんな情態では読書する時間もないのです。主婦が読書する様になるには此の余裕を作る事が先決問題でしょう。男の人は読書する余裕があっても、新聞も読まずに居る人がいるんです。男女同権といっても仲々難かしく、はき違えも御座居ます。男女同権がうまく行はれる事によって、主婦の座というものが確立され、余裕も出来るのだと思います。又女より男の方が色々の事を知って居ると言ふ其の前に、男は女に比して、どれ程まめに働いて居る事でしょうか。おそらく女の方が何倍も多く働いて居るでしょう。ラジオを聞くにしても何につけても、現在でも男の人の方が得をしているんです。主婦は知恵をもたないと言われるが持たないのではなく、持たせられなかったんです。農家の嫁ともなれば余裕はあるにしても姑がうるさいとか世間ていなどによって新聞も見て居られないと言った問題も有りました。此のような事は今では昔の農村問題の一つでありましょう。今後は反対に成りつつある傾向のように思われます。今日のように日進月歩とうつり変る世の中になり、私達農村婦人も新聞を見たりラジオを聞き、集い、話合等にも出席し、子供と共に勉強出来る母となるよう心掛けたいと思います。女性は読書することを好む者であります。そして読書によって多少の知識を持つ事も出来るのです。
 読書が出来る農村婦人になるには男女平等に仕事を分担して婦人も男子と同等に余裕を作ることです。家庭により環境によって困難もあるんです。農村婦人が本を見ると言う事は余裕を作ることにほかならないものであると思います。

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
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