第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958
婦人会のこと
志賀 T生
市街地の婦人団体の様に有閑マダムのいない農村の婦人会は、そのメンバーがいずれも精一杯の野良仕事その上、育児、炊事、衣料等に到る迄、一家の主婦としての一切を背負っている上に、更に封建性の強い家庭になると、姑、小姑の間に挟まって、四六時中、寸暇もないと云う婦人もないではない。
菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
そうした関係もあってか部落によっては、いつも役員の選挙が相当難航する場合がある。しかし、いやいやながらも、一旦引受けた以上、男性とちがって物事に緻密で、しかも責任感も強い。で、私達の最も驚くことは、今迄いつも家庭に閉じ籠もってゐた関係もあってか、物事に遠慮勝ちで同時に社交にもうとく、亦今迄平凡な婦人だとばかり思っていたような人達が、役員として登場してくると、急にクローズアップされて行くことである。従って交際振も鮮(あざやか)になり、順次自信にみちた態度に変ってゆくことである。言葉は悪いかも知れないが、それは今迄台所にあった儘、磨きをかけなかった為に光らずにゐたのではなかったのかと思わせられる。
野良帰りや、或は街頭で近所隣りの話題に熱中してゐたのでは、新時代の主婦として、又新時代の子弟の家庭教育においても万全を期することはできない。それは単なる母であり、単なる姉であると云うにすぎない。
故に家庭的には忙しいながらも、婦人会を中心に時代に処す可く、更に一歩前進した教養を身につけるべき必要にせまられてゐるのではあるまいか。