ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷婦人会『しらうめ』第16号1996

健康を求めて その2

            嵐山町長 関根昭二

 そこで早速雑誌「致知」なる会社へ問い合わせてみることにしました。致知出版社からの返事は「海の精」を販売している会社を紹介してきたものです。それは「東京幸茸園」という所で住所と電話番号が記されていました。値段については二百四十グラム八百円のところを「致知」を見ましたと書き添えれば七百円に割引するというものです。さらに先方は小さな事務所なので留守番電話になっていることが多いとのことでした。
 そこで念のため「郷学研修所」に問い合せてみようと思い聞いてみました。「致知」と「郷学研修所」とはどちらも安岡正篤先生と関わりがあるからです。事務局の方は親切にも「それでは調べて聞いてみて上げましょう」と言ってくれました。私は取り敢えず二袋注文しました。それから幾日ぐらい経ったでしょうか。事務局の方が問題の塩を届けてくださいました。
 その塩は「致知」の紹介の会社の塩ではなく一緒にあるパンフレットによりますと、「クリスマス島 海の塩の会」研究会というところのものです。この塩の原産地クリスマス島は海洋開発研究家黒岩常明氏によりますと、ハワイの真南二千キロ、赤道のすぐ近くの太平洋のど真中にある絶海の孤島であります。面積二百七十平方キロメートル(嵐山町の面積の約九倍)で珊瑚礁だけで出来た島としては地球上最大でこの島に向かって流れる海流は途中で汚染されることがないので、クリスマス島周辺の海水は綺麗さでは群を抜いて世界一であるといいます。この海の水を赤道乾燥地帯の強烈な陽射しによって塩田で天日だけで蒸発、結晶させて作ったものがこの塩なのです。藍そのものの海の中から干し上がった純白の塩、この塩の中には最高良質のナトリウムを主体にして、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分などの微量成分が微妙に含まれています。
 さて待望の塩を手にした私は夜、お風呂に入る時さっそく使ってみることにしました。封を切って驚いたのはその塩の荒さです。ザラメのような結晶体なのです。この塩を身体に擦りつけて磨くのですが、とても強く押しつけてこすることはできません。日本の塩のように細かい粒子ではないからです。これには期待外れでした。
 間もなくこの塩を使うことを止めてしまいました。一袋はそっくり残ってしまいました。
 塩にかけた期待はもろくもくづれ去ったのです。
 次に注目したのが「クロレラ」でした。新聞の折り込みチラシの中に入っていた広告により資料を求めてみました。「健康新世紀」―健康医学の新しい道―と題された本のような資料には、クロレラに関する説明と、中山流石という人の「私の闘病体験」という記事がありました。この体験談は次のようなものです。
 戦争に従軍しましたが昭和二十年敗戦により帰国、リューマチになり、さらに、四十年には胃がんで胃の三分の二を切除しました。その当時は高血圧、糖尿病、慢性心不全、通風などの病気を持っていて、杖にすがってトボトボと歩ける程度でした。さらにその後、脳内出血で公立病院に入院しましたが、退院する時、院長から「あと二、三年の命」だと言われました。退院後は、医者の薬の他、針、灸、物理療法などいろいろとやってみましたが効果はありませんでした。そんな時、友人から「クロレラ」をすすめられて飲み始め、二十日ぐらいたつと肩のコリがなくなり、一ヶ月たつと胃の鈍痛もなくなりました。六ヶ月後には通風を除いて糖尿病などのすべての自覚症状がなくなりました。さらに三年たつと通風も軽快になり、すっかり病気と縁が切れてしまいました。
 この体験をもとに中山氏は、健康に有益な働きをするのは「生理活性物質」だと気づいたのです。そしてこの物質は中国やロシアにある「エゾウコギ」であると着目したのです。
 クロレラは、二十数億年前に出現した淡水産の緑藻類の一種で単細胞の生命体で核を持った最初で最後の生命の一つだと言われています。顕微鏡でしか見ることのできない微生物ですが、光合成能力が高く生命力が旺盛なので地球上のあらゆる異変に影響されないで今も原姿の姿のままで生き続けているというのです。クロレラを分析すると良質な蛋白質を主成分として、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、不飽和脂肪酸(リノール酸など)を含んでおりさらに葉緑素と生理活性物質C、G、Fも含んでおります。この生理活性物質というのが、生物の発育を促進させ、人体の組織を活性化させて自然治癒力を増強させるものなのです。
 C、G、Fとは、クロレラ、グロス、ファクターと称されるもので、栄養代謝、生命活動を活発にさせる働きをするもので、これによって身体の各機能も活発に活動するのです。
 こうしたものを製品化して販売している会社が株式会社「夢」というのです。私はクロレラC、G、F、凝縮製品「福夢」というのと、エゾウコギエキス凝縮製品「福人」とを買ってみました。どちらも粒状で豪華な茶壷の小さくした入れ物に入っていました。一日に何粒飲むのか忘れましたが飲み終わりますと、効果も分からないまま次の注文はしませんでした。値段も高いし買いたい気分にならなかったのです。
 一月三十一日付の埼玉新聞に「クロレラ製品を多角的調査」と題して、健康食品に関する苦情のうち、クロレラ製品が約二五%を占め、一九九五年度のクロレラの苦情は昨年十二月中旬までに八百件を超え、過去最高になる見通しだ、と出ていました。如何に問題の多い健康食品かが分かりました。

菅谷婦人会『しらうめ』第16号 1996年(平成8)3月
このページの先頭へ ▲