第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷婦人会志賀支部 文集『あゆみ』1960
旅行の想い出
高橋喜久子
朝ぎりを切り私達一行を乗せた車は一寸想像つかぬ千葉県の船橋へと向った。誰も楽しそう。侭田会長さんの司会の元に車内も一だんとにぎわった。今日一日私にとっては一生の想い出の一つです。数限なくつづく田園、黄金の秋をしのばせる様にふさふさとしている。又台風におそわれ痛々しい田園もある。そうこうしているうちに、何時しか車はなつかしの東京に入った。まったく青春時代を想像し、思いは走馬灯の絵のようです。ガイドさんの案内のままにあたりを見廻す。どこか昔の面影がある。車内はむさぶる様にてりつける。限りなくつづく自動車。子供もうれしそうにおもてをながめる。東京をさかえに流れる江戸川をあとに千葉県に入った。もっと先かしらと思う間に東京湾に面した海岸が見える。あっと言う間に船橋についた。さすがに有名な場所だけに大した人でした。数限りない遊覧車、幼ない頃に帰ったかの様に子供と一緒に乗物で楽しんだ。大小のプール、子供達はおおはしゃぎです。私達会員も三々五々に散る。何もかも目あたらしいものばかり。暑いとは云へ、海風に一入(ひとしお)涼しさを感じた。思いのままに三、四時間、自由行動をとる。全く一家揃って一日ゆっくり楽しみたい場所です。大いに働き又明日への希望新たに春秋の行楽シーズンを楽みにがんばりましょう。なごりつきない船橋をあとに、又バスに。郷土菅谷村へと向った。
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月