第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷婦人会志賀支部 文集『あゆみ』1960
船橋ヘルスセンターへの感想
高橋琴子
去る八月二十八日、忘れ得ぬこの佳き日、午前六時懐しの故郷をあとに一路船橋ヘルスセンターへと車は滑り出した。十種以上にも及ぶ乗り物の遊び道具、宇宙の世代にふさわしい人工衛星、又真夏の光味を充分に満喫出来る室内プール、又屋外プール、はるか前方に見える大海原、湾内と云えどもその広さは表現出来ず。海原に戯れる入鹿の群れ、大きな漁船、そして遊び疲れた身体を湯泉に浸り心ゆくまで陽気になれるこのいこいの場所、この楽天地。私たち一行はこの一日はすべてを忘れて子供と一緒に遊んで来ました。私達農村婦人は毎日の精一杯の農作業、その上育児、炊事、衣服。種々に到るまで一家の主婦の労働は今更云うまでもありません。まして子供と共に楽しめる機会なんて考えも及びません。山積する絵本、巧みな話を何遍聞かせても「百分は一見にしかず」と諺にもありますが実質だと痛感致しました。此の様な計画も本当に係の方達には難航する場合が大抵です。併しあらためて遠方に限らず、親子供共に楽しい集いこそ、新時代の主婦として、又新時代の子弟の教育にも大いに役立つことと思います。したがって婦人会活動の一端として組込んでほしいものです。なつかしの我が家をあとにあこがれのヘルスセンターへ行く。
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月