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第6巻【近世・近代・現代編】- 第7章:文芸・学術・スポーツ

第1節:俳句・短歌

嵐山町の俳人達

明治・大正期の嵐山町の俳人達2


広野

 俳号 花砕(酔) 小はな

 花砕 花酔 栗原慶次郎 同一人と思われる。
   昼の蚊のかくれ処や蚊きり種

 小はな
   香にくもる夜空となりぬ梅の花
   誰かなと待夜をたたく水鶏哉
   待宵や松をこころの澪標
   執着の余りの夜も花蝶
   夕たちや恋に是疎き身繕ひ


杉山

 俳号 杉の宴 二川 一枝 学庵 梅月 卜足

 杉の宴
   野菊折る怨も手向のひとつかな

 二川
   出来晴や塗替させし簓獅子
   寒食や畄子ても無て物静か

 一枝
   汐くさき風呂敷洗ふ弥生哉

 学庵
   不二に眼の届けば寒き小春哉

 遂人
   また鐘か〆る氷の轄かな

 梅月
   春雨や子は双六の旅つかれ
   末枯や朱冠黒みし納露 →霪(オサメアメ)
   上手より下手に奥あり■(過)用力
   村雲は俄の莖か天の川
   短夜や鶏の預る壱念の勝負

 卜足
   夜に入ればよい風のある土用哉


菅谷

 俳号 晃月

 晃月
   堪忍は身の要也白扇


川島

 俳号 花盛 太郎 千里

 茂盛
   親に酒買へば光なり秋の夕
   伏稲に高きは民の枕かな
   見るよりも凉し寝て聞く水の音
   黄鳥やそっと障子を小一寸

 太郎
   朝拝や我雪の長

 千里
   早起を仕遂て餘 の早寝哉


志賀

 俳号 琴賀 雲星 杢秀 秋声 竹老 竹走

 琴賀
   遠くから心通ふや夏木立
   年のくれ短かくなかひ気持かな
   残されて涼しや酒と月と我
   雪の竹見て堪忍を覚ひけり
   花の散る思ひや雪に掛る雨

 雲星
   貝拾ふ手先を吹や春の風
   しほ桶に翻(コボ)れ込みけり松の花

 杢秀
   夜綱引聲幽しおぼろ月

 秋声
   短夜の業に日長し蜘の糸

 竹老
   此の里の富貴草也草煙艸

 竹走 竹窓、高撫G三と同一人か
   魂棚に人の見ぬ袖濡しけり

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