第6巻【近世・近代・現代編】- 第7章:文芸・学術・スポーツ
武蔵俳諧百人集
号 南耕廬
比企郡唐子村*1神戸 島村広吉
花見はや夕の盛りは朝の夢 香旦
*1:比企郡唐子村(からこむら)は、現・東松山市。
号 至雪庵
比企郡七郷村*2古里 大久保勇次郎
川骨*3や東翻れの細流れ 楽哉
*2:七郷村(ななさとむら)は、現・嵐山町。
*3:川骨は、スイレン科の水草コウホネ。
比企郡平村*4字西平 内田晴治
花にさけよりたのしみの蚕哉 晴風
*4:平村(たいらむら)は、現・ときがわ町。
号 新■庵
比企郡小川町下里 安藤半次郎
咲栄ふ梅に明るき社かな 谷藤
号 夜秋庵
比企郡七郷村*5勝田 田中太蔵
我庵は柊さす夜を早寝哉 如昇
*5:七郷村(ななさとむら)は、現・嵐山町。
号 石腸庵
大里郡折原村*6立原 高柳好作
武蔵野やちからたけ咲草とくさ 渓隣
*6:折原村(おりはらむら)は、現・寄居町。
号 無隣庵
比企郡高坂村*7正代 林澗龍
彗星はうせて寒月光りけり 柳畝
*7:比企郡高坂村(たかさかむら)は、現・東松山市。
号 石葉園
大里郡本畠村*8 田中健蔵
紫陽花や浅黄を色の始めにて 寿山
*8:大里郡本畠村(ほんぱたむら)は、現・深谷市(旧・川本町)
大里郡男衾村*9赤浜 大沢由松
はなし声ふと途切れけり匂ひ鳥 二洲
*9:男衾村(おぶすまむら)は、現・寄居町(よりいまち)。
号 川亭
比企郡小川町本一 前田知治
秋深し紙のつき川かふと川 知舟
号 花月庵
比企郡七郷村*10太郎丸 田幡宗勝
忠と義に大和心の桜かな 松雪
*10:七郷村(ななさとむら)は、現・嵐山町。
比企郡松山町*11 鯨井忠久
神祈るこころに留守は無りけり 忠久
*11:比企郡松山町(まつやままち)は、現・東松山市。
号 積雪庵
比企郡七郷村古里 大塚善助
元日や昨日にかわる起心 蟻通
号 春川居
比企郡七郷村広野 権田亀太郎
団子まて浮世の味や花の山 亀遊
号 至誠堂
比企郡八和田村中爪 馬場新右衛門
名月や曇らぬ御代の十寸鏡(ますかがみ) 至誠
号 桜暁庵
比企郡亀井村*12須江 日野園平三
さりなから涼し心は持次第 山友
*12:亀井村(かめいむら)は、現・鳩山町。
号 花月園
比企郡小川町 秋山幸太郎
冬木立斯なるものか花の山 巖松
比企郡唐子村*13神戸 島田常太郎
一心の外に杖なし年の坂 志のふ
*13:比企郡唐子村(からこむら)は、現・東松山市。
号 苔廼家
比企郡宮前村*14月輪 武井茂次郎
寛て蜘蛛の智恵見る夜番かな 茂行
*14:宮前村(みやまえむら)は、現・滑川町。
大里郡小原村*15須賀広 根岸宥證
風骨を洗ふて出たり朝の梅 石卵
*15:大里郡小原村は、現・熊谷市。
号 梅の家
比企郡宮前村*16羽尾 井上宗治
五畝の宅皆桑植て蚕かな かをる
*16:比企郡宮前村(みやまえむら)は、現・滑川町。
号 観笙庵
比企郡今宿村*17石坂 安藤佐五郎
我なからわか身知らすの寒さかな 柳江
*17:今宿村(いまじゅくむら)は、現・鳩山町。
号 末生庵
比企郡竹沢村*18飯田 吉田鉾三郎
咲てから踏広かるや花の道 芳翠
*18:竹沢村(たけざわむら)は、現・小川町。
号 蝸牛居
比企郡八和田村*19伊勢根 正木清作
親しみの広かる花のむしろかな 自黙
*19:八和田村(やわたむら)は、現・小川町。
号 帛令舎
比企郡菅谷村*20遠山 高橋伝吉
親の親ありて睦まし桃の宿 蚕友
*20:菅谷村(すがやむら)は、現・嵐山町。