ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし

第3節:日記

冨岡寅吉日記

昭和15年(1940)5月


五月一日 水曜 晴
起床:五時二十分
就寝:二十時三十分
登校:七時五十分
下校:十四時二十分
 神社参拝。草刈り
朝早く起きて支度をして神社に行って掃除をして参拝して家へ来てから学校に行かった。行ってから機械体操をした。朝礼をしてから一、菅谷の神社に参拝した。第二時に算術平方根の所をした。三時地理をしないで理科をした。書方をしてから昼を食って手工の同具を分けた。家へ来て湯かいこみ草刈り等をした。

七郷村経済更生記念日で七郷小学校で村民大会開催*1

*1:「経済更生指定村の七郷村では一日の経済更生記念日に小学校で村民大会を開き県経済主事の講演、午後は余興で賑った」(『埼玉読売』昭和15年5月2日)


五月二日 木曜 晴
起床:五時十分
就寝:二十時二十分
登校:七時二十分
下校:十四時三十分
 久保先生と話した
 [欄外]受信 簾藤先生
起きて見ると空は曇って居て雨の降りそうなもようであった。朝曇かもしれない。支度をして学校に行った。朝礼の時週番の話を聞いた。第一時に読方をした。二時に国史をした。三時に角力をした。今日は部会の先生の総会があるので四時間てしまった。草刈りに行って久保先生と逢った。魚を多くついた。家へ来たらくらくなった


五月三日 金曜 晴
起床:五時三十分
就寝:二十一時十分
登校:七時五十分
下校:十六時三十分
 草つみ
起きて見ると空は晴れて金色になって居た。太陽が出て薄霞がかゝって居た。学校に行って始まるまで遊んだ。ラヂヲ体操をした。第一時に修身、二時には読方、読んだ。三時に地理をした。温泉の話。四時体操をした。五時図画、六時武道をした。農業当番をして家へ来た。耕地に草つみに行って一っぱいつんで来た。学校帰りに簾藤先生と行きあった。


五月四日 土曜 晴雨
起床:五時四十分
就寝:二十一時二十分
登校:七時三十分
下校:十二時四十分
 雨が降り出した。
空は昨日と同じ様であった。支度をして学校に行って機械体操をした。朝礼をした。第一時に読方。デンマークの農業の所が終った。二時算術平方根。三時体操で下田先生が教へた。機械体操飛び箱等をした。庭掃除をして家へ来た。むしあつく空は少し曇り始めた。夕方近くなると雨が降り出し夜になると本降りとなった。


五月五日 日曜 雨曇
起床:五時三十分
就寝:二十時四十分
登校:
下校:
 清水港はよかった。
五月五日は農士学校の角力てある。だが起きて見ると合にく雨が降って居た。朝食をしてから少し家の廻りをかたづけてから遊びに行った。金井君の家に行き山下君等と遊んだ。昼を食ってから又金井君の家に行き向徳寺に行った。チクオンキがかゝって居たので聞いた。鈴木照子のも聞いた。清水港は六枚続でとてもよかった。新藤文君の家で植木をもらった。子守り。明日はハイシヤ


五月六日 月曜 晴
起床:四時五十分
就寝:二十時四十分
 登校:六時五十分
下校:十八時三十分
 今日は週番 週番先生の話(花壇をかわいがること。)(はき物をきちんとすること。)
今朝は朝当番なので早く起きて支度をして山下君の家に行った。シャベルを持って行った。当番が終ってから職員室に行き週番の話を聞いて廻って走いた。一時に算術平方根表を作くった。二時に修身をした。三時はきりこぎで一人一本こいで穴に移植した。掃除を見た。日しをつけて先生に見せて、家へ来て子守りをした。


五月七日 火曜 晴
起床:五時三十分
就寝:二十時五十分
登校:七時四十分
下校:十六時六十分
 朝礼がちがった。
 [欄外]算術考査
今日も週番である。支度をした。馬小屋の上にあるねこを見た。学校に行って朝礼のときに話をした。今度の朝礼からサイレンが鳴ル(二カイ続)そして自分の今居る場で玄関の方を向く。行進曲をかけていつもの様にならぶのである。第一時に算術をした。二時読方をした。三時身体げんさの表をけいさんした。体操はひまをもらった。週番なので教室を見廻った。日しをつけて先生に見せて家へ来て子守りをした。


五月八日 水曜 曇
起床:五時二十分
就寝:二十時四十分
登校:六時五十分
下校:十五時三十分
 おしゃか様
支度をして行ぐと皆が出て来た。学校に行って教室を見廻った。サイレンが二かい続いた。朝礼があるのである。台を出した。一時算術をした。先生が問だいを出した。二時地理、地震の所をした。三時、理科比重をした。四時、書方男は事業は終った。日しをつけて先生に見せて明日話を聞いた。家へ来て遊んだ。子守りをした


五月九日 木曜 晴
起床:五時三十分
就寝:二十時五十分
登校:七時二十分
下校:十五時四十分
 週番で言った。
今日は木曜日なので朝礼で週番について言ふのである。学校に行って廻ってあるった。朝礼の時に行った。あせが出た。第一時に読方をした。二時国史をした。三時綴方、四時、農業自習五時実習をした。実習は土はこびである。昼休みに石ひろいをした。明日は観えつ点呼てあるので事業はない。家へ来て水車に行って来た。


五月十日 金曜 晴
起床:四時三十分
就寝:二十時四十分
登校:七時
下校:十三時十分
 点呼けんがく
今日は観閲点呼*1のあるため事業は出来ないのである。六年以下は遊びである。学校に行くとじきに始まった。一番始めに話を聞いた。点呼といふものはきびしいものである。昼近くなってから河原に行ってべんとうをたべて遊んだ。河原で分れて家へ来て草刈りに行き魚を突いて家へ来た。

*1:菅谷小学校校庭で菅谷・七郷・八和田村の簡閲点呼実施。


五月十一日 土曜 晴
起床:五時二十分
就寝:二十時四十分
登校:七時三十分
下校:十五時五十分
 週番も、もう終ってしまった。
今日は週番の一番しまいの日である。支度をして学校に行った。途中金井君が追ついた。学校に行って一年生の教室をかたづけた。第一時に読方ペスタロッチ。二時算術考査をした。三時は体操であるが先生の居ないため鬼神神社の剣道見学に行った*1。昼を食って週番日記をつけて家へ来た。おし切りで草を切った。明日は日曜日、週番も今日で終った。

*1:鬼鎮神社で開催された紀元二千六百年奉祝奉納武道大会
「菅谷村鬼神神社臨時大祭は十、十一、十二日の三日間武運長久祈願祭も行ひ十一日には境内で小川署管内武道奨励会主催の二千六百年記念奉祝奉納武道大会を挙行、種目は柔、剣、弓、銃剣、出場剣士約四百余名」(『埼玉読売』昭和15年4月28日)


五月十二日 日曜 晴
起床:四時二十分
就寝:二十時五十分
登校:
下校:
 今日は日曜日で草刈りに行った。
今朝は草刈りに行くので早く目をさまして待って居た。そして父と一所に根岸河原へ草刈りに行った。行って来てから時計をかりに行って来た。自転車で遠山の水車に面を持ちに行ったら幾本もなかった。家へ来てホタル入れを作くった。昼からは守と一所に中河原へ草もぎりに行った。魚を幾匹か寄いて*1来た。少し子守りをしたがだめだった。

*1:突いて。


五月十三日 月曜 曇
起床:五時十分
就寝:二十時五十分
登校:七時二十分
下校:十六時二十分
 手工の話
朝起きて見ると空は曇って居て今にも雨の降るやうであった。学校に行きながら家に傘を持ちに来た。朝礼はなかった。機械体操をして居ると雨が降って来た。その時に始まった。第一時修身をした。二時算術をした。三時農業次に理科浮沈をした。四時手工の道具の話をした。農業当番で物置、収農舎の大掃除をして先生にほめられた。家へ来て雨が降って来た


五月十四日 火曜 晴
起床:五時十分
就寝:二十一時十分
登校:七時三十分
下校:十五時二十分
 週番先生の話(1)(御影にていねいにけいれいする。)(2)(手ぬぐいを持ってくること。)先週のも守ること。
起きて見ると、とても空気がひゑて居た。まきが頭がいたいので自転車に乗せて学校に行った。朝礼をした。週番の先生の話もあた。第一時に算術、小数の平方根をした。二時読方ペスタロッチの所。三時国史ヨーロッパに使に行った所。四時体操、機械体操飛び箱をした。まきを家へ送くって来た。五時唱歌をした。掃除をして家へ来て草もぎりに行った。草切りをした。


五月十五日 水曜 晴
起床:四時四十分
就寝:二十一時二十分
登校:六時五十分
下校:十三時四十分
 神社参拝。草つみ
今年は十五日にも神社参拝をするのである。早く起きて神社に行って掃除をして参拝して学校に行った。朝礼をした。今日から教室に入る行進が変った。一時間目に算術、二時地理をした。三時理科、四時書方、男は四時間でしまった。明日は自習がある。実習があるのでジャベルを持って行くのである。家へ来てからみかいを持って耕地の方に草つみに行って一つぱい取って来た。


五月十六日 木曜 晴
起床:五時
就寝:二十一時三十分
登校:七時二十分
下校:十四時四十分
 籠の運搬
早く起きて馬の湯をわかした。支度をして行った。村田君は、朝当番であった。山下和君の家へも行った。シャベルを持って行った。山下三君の家へも行った。学校に行って機械体操をした。朝礼の時週番で小沢君が話をした。一時読方をした。二時国史、三時綴方上げた。四時農業、五、六時と実習をした。堀の土をさらってはこんだ。家へ来て、大臣の家に籠を持って行った。来てから唐子にも行った。


五月十七日 金曜 曇
起床:四時二十分
就寝:二十一時三十分
登校:六時二十分
下校:十六時三十分
 武道をした。
今朝は朝当番なので早く起きて支度をした。空は雨が降りそうであった。山下昭君の家へ行き、山下和君の家へ行く途中に支度をして出て来た。学校に行くと教室には誰も居なかった。掃除をして自習をした。外に出た。朝礼の時に雨が降って来た。一時修身、国民の誠忠の話をした。二時読方 文字をした。三時地理、四時に体操。図画。六時武道をした。先生とした。家へ来て木をけづった。


五月十八日 土曜 曇
起床:五時十分
就寝:二十一時十分
登校:七時三十分
下校:十三時四十分
 堆肥出し
起きて見ると世間一面に霧がまいて居た。支度をして学校に行った。自習は始って居なかった。外に出て機械体操をした。自習の鐘がなり第五課を書取りした。朝礼をした。国民第一体操をした。一時読方 象形文字は面白い。二時 算術 P11をした。三時体操。国民体操をした。機械体操。農業当番をして家へ来て父と田へ堆肥を出した。


五月十九日 日曜 晴
起床:四時十分
就寝:二十一時五十分
登校:
下校:
 すだれあみ。
早く起きて籠をしょって父と河原へ草刈りに行った。そして一籠刈って家へ来た。朝めしを食ってから車に籠をつけて川に行って洗った。二度。この目の木も洗った。一度。午後、父と田へ行って堆肥ちらかしを三時間位して家へ来て魚突きに行ってなまづを突いた。家へ来て竹のすだれあみをした。面白かった。


五月二十日 月曜 晴
起床:五時十分
就寝:二十一時四十分
登校:七時二十分
下校:十六時三十分
 桑の葉もみ*1
今日は手工があるのである。馬の湯をわかして大工の家へ行ってかんなを持って来た。板ももらった。学校に行って外に出て機械体操をした。自習が始まって算術をした。一時修身話をした。二時算術P11。三時農業、四時、理科、融解熱をした。五時は手工である。四時の休みに庭に並んで桑の皮むきの話、手工で板をけづった。家へ来て、桑の葉をもいだ。たくさんもいだ。

*1:桑の葉もぎ。


五月二十一日 火曜 晴
起床:五時二十分
就寝:二十一時四十分
登校:七時十分
下校:十六時二十分
 正常歩があった。
今朝は少しおそく起きた。そして蚕に桑をくれた。支度ををしたが皆が呼ばはりに来た。学校に行って自習をした。明日読方のけうぎ会がある。一時算術、P13
 二時読方 明日の自習をした。読んだ。三時、全体が先生にしかられた。四時体操、合同訓練があった。五時、唱歌千里の春。家へきてこくそ出し。


五月二十二日 水曜 晴
起床:五時
就寝:二十一時三十分
登校:七時二十分
下校:十四時四十分
 ろうどく会
 [欄外]発信一〇〇〇米係へ
起きてめしをにる火むしをした。そして支度をして山下君の家へ行った。向ふの道に行くと金井君が居た。一所に行った。機械体操をした。朝礼で今日御下しになった勅語を奉読した。一時読本のろう読会で読んだ。二時算術十四頁をした。三時、書取。四時書方をして家へ来た。そして屋根屋が来て居た。かたづけなどした。


五月二十三日 木曜 晴
起床:五時二十分
就寝:二十時四十分
登校:七時三十分
下校:十六時二十分
 実習をした。桑もぎ
 [欄外]受信 斉藤三郎
朝起きて朝めしをにて、すぐ籠をしょって草刈りに行った。そして一籠刈って来た。支度をして居ると山下君が来た。シャベルを持って学校に行った。朝礼をした。一時読方鳥の声。二時国史、三時綴方のわけだが書取り、四時農業、五時、農業実習をした。土はこびをした。六時、土運搬をした。家へ来て桑もぎをして全部もいだ。斉藤君が二十五日来る。


五月二十四日 金曜 晴雨
起床:五時十分
就寝:二十一時四十分
登校:七時二十分
下校:十八時
 農業当番
朝起きて蚕に桑をくれた。それから支度をして山下君の家行った。皆と一しょに行かなかった。すぐに追ひついた。朝礼をした。体操はしない。一時 目、口等のけんさをした。二時 修身をした。三時 読方 鳥の声。四時、地理、いろいろの作用。五時図画。先生にほめられた。六時 武道をした。農業当番、体育デーのせん手をきめた。桑くれ


五月二十五日 土曜 雨
起床:五時十分
就寝:二十一時三十分
登校:七時二十分
下校:十四時十分
 体操のうなぎの皮はぎは面白い。
朝早く起きて朝めしをにた。今日から幾分か早く始まるので支度して山下君の家へ行った。河原まで行くと金井君が追ついた。一時読方思出をした。二時算術P14。三時下田先生より体操を。掃除をした。二十分で出来た。教室で週番。掃除等の組合、週番は一組で組長。掃除□*1して家へ来て貯金をさげた。玉川に使に行った。桑の皮むき。体操でうなぎの皮はぎをした。

*1:等か。


五月二十六日 日曜 晴
起床:五時十分
就寝:二十一時四十分
登校:
下校:
 手伝ひ
 [欄外]玉蜀黍播種。三十九づつ
今日は日曜日てある。草刈りに行かないで蚕に桑をくれた。朝食後、父と馬の肥取りをした。終ってから畠の作入れてさゝぎ、をまいた。午後昼休みに斉藤の家へ行ったら来て居た。玉蜀黍も播種。木綿。ごま。人参。等を播種した。その土かけをした。桑しばりをした。明日は体育デーであるし週番てもある。ヅボン。シャツを買ふ。八円三〇銭


五月二十七日 月曜 晴
起床:五時十分
就寝:二十一時五十分
登校:七時
下校:十三時二十分
海軍記念日
 体を丈夫に何事も成とげるやうにする体育デー
今日は体を丈夫にする体育デーてあるし週番でもある。早く支度をして金井君の家へ行った。学校に行って体育デーのいろいろの準備をした。二百米で四等であった。二年の旗取りの旗さしをした。隆次は一等であた。井戸のかんとくをした。南組は三等である。週番日誌をつけて家へ来て桑切りの手伝いをした。


五月二十八日 火曜 晴
起床:五時
就寝:二十一時三十分
登校:七時十分
下校:十五時二十分
 週番で机はこび
今日も週番である。赤いたすきを右かたにかけて学校に向った。鯨井君等と同行した。週番の者と一所に服部先生*1の所へ行った。週番先生の話、掃除を早く正しくすること。ほう科後遊て居ないて早く家へかえること。一時、算術方程式をした。二読方噴油の所、三国史 江戸幕府、四時体操石拾ひ。三年の教室の掃除。日しをつけて先生に見てもらい机はこびをした。家へきて皮むき

*1:服部利二。1940年(昭和15)3月〜1943年(昭和18)3月


五月二十九日 水曜 晴
起床:五時
就寝:二十一時十分
登校:六時四十分
下校:十六時五十分
 頭がいたい。
今朝は朝当番なので早く起き支度をして学校に行った。水を汲んでふいた。野村。山下昭君はおそかった。一時算術十五頁。二時地理山脈。三時理科。四時書方をした。午後から東京の日の丸えうち園から来た先生の話。週番の仕事をしてから家へ来た。頭がいたかったので寝てしまった。


五月三十日 木曜
起床:
就寝:
登校:
下校:
病気


五月三十一日 金曜 
起床:
就寝:
登校:
下校:
病気

このページの先頭へ ▲