第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし
冨岡寅吉日記
二月一日 木曜 曇晴
起床:六時二十分
就寝:二十時五十分
登校:八時
下校:十六時二十分
金井君に小説をかりてよんだ。草つみをした。
今日は神社参拝なのではうき*1を持って神社に行った。誰も居なかった。そしてきれいにそうじがしてかった。学校に行きながら金井君に平手造酒の本をかりた。ボールをした。五時間は終ってそうじなのでして家へ来て麦踏み、草つみ等した。
*1:ほうき、箒。
二月二日 金曜 曇
起床:六時五十分
就寝:二十時十分
登校:七時五十分
下校:十五時五十分
話方。むぎふみ
朝起きたらとても曇って居た。籠みをもって行った。役場へ手紙を持って行くので早く行った。又金井に、忍術大し合の本をかりた。その頃はこく曇って来た。雪が降れば良いと思ふ。五時間目に話方をした。自分もした。家へ来て麦ふみをした。
二月三日 土曜 曇晴
起床:七時十分
就寝:二十時十分
登校:八時二十分
下校:十四時四十分
雪が降った。なわない。こひとり。
起きて見ると雪が少しつもって居た。からねこを置いた。学校に行きながら昨日の本を続けて読んだ。雪合戦をして居る者もある。スキも見た。一時間目に算術であった。国史もした。三時間目にはしつもんをした。家へ来てなわない。こひとりをした。
二月四日 日曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時四十分
登校:
下校:
節分。本を買った。
今日は日曜日である。起きて見ると昨日の雪は少しのこって居る。昼前の家は子守をした。昼を喰ってから支度をした。そして皆と一しょに鬼神様へ行って村雲小天ぐの本を買った。今日は節分である。とても面白い。
二月五日 月曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時五十分
登校:八時十分
下校:十五時五十分
子守いろいろ。本をよんだ
昨日は鬼神様であった。学校へ行きながら村雲小天狗の本を見ながら行った。そしてボールをした。教室に入って修身をした。理科もした。農業四時間してそうじをして家へ来た。子守りをした。いろいろした。
二月六日 火曜 晴曇
起床:六時四十分
就寝:二十時二十分
登校:八時十分
下校:十六時五十分
暉三さんに発しん。農業当番
[欄外]暉三さんに発信
皆が集ったので一しょに行った。ボールをした。竹登りもした。算術の時にいろいろの三角形を書いた。読方もよかった。地理を二時間した。暉三さんに手紙を出した。そうじをして家へ来た。農業当番であった。いろいろ
二月七日 水曜 晴
起床:六時四十分
就寝:二十時十分
登校:八時二十分
下校:20時十分
子守り。
[欄外]兎が出来る。
起きて見るといくらか雪がつもって居た。そして金井*1と斉藤*2に本をかりた。金井がのは読きった。先生が用があるので三時間でしまって家へ来た。子守りをしながら読んだ。夕方まで子守りをした。
*1:金井仲次郎。同級生。
*2:斎藤三郎。当時高等科2年生。
二月八日 木曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時二十分
登校:八時三十分
下校:十五時四十分
今日は四時間でしまった。子守り。
本も読み切ったのでつまらない。斉藤に本をなした*1。僕にもよこした。ボールをしたり竹登りもした。四時間目には先生が居ないので自習をした。ねぎをこしらへた。終
*1:返した。
二月九日 金曜 晴
起床:六時
就寝:二十時二十分
登校:八時十分
下校:十五時三十分
本をかりた。
二郎さんが来たので学校に向かった。高二の照夫さん等と一しょに行った。外に出てボールをした。中島君に水戸黄門の本をかりた。三時間目まで先生はいなかった。べんとうのぼたもちを喰った。五時間して家へ来て本を読んだ。実に面白くよい本だ
二月十日 土曜 晴
起床:六時二十分
就寝:二十時三十分
登校:八時二十分
下校:十四時十分
木の葉はき。麦踏み。
隆次にしゃしん機を買ってやった。そして学校に行った。そしてボールをした。一時には算術いろいろ。二時国史。とても面白かった。そして唱歌れんしうをして家へ来た。おばあさんと山へ木の葉、はきに行って来た。麦踏みをした。
二月十一日 日曜 晴
起床:六時二十分
就寝:二十時十分
登校:八時三十分
下校:十一時二十分
紀元節 木つけ
今日は日曜日だが紀元節の為学校に行った。そして式をした。二千六百年の唱歌もして家へ来た。昼を喰って父と守と三人で山から木出しをして全部はこんだ。明日は当番てある。
二月十二日 月曜 晴
起床:六時二十分
就寝:二十時三十分
登校:八時二十分
下校:十六時二十分
べんとうがあつかった。藁草りを作くった
今日は当番なので早く起きて支度をして学校に行ったらとても早かった。ボール、竹登りをした。べんとうがとてもあつかった。四時間目から藁草りを作くった。家へ来てもした。野口宗平*1さんのがいせん。
*1:1936年(昭和11)1月10日歩兵第一聯隊入営。
二月十三日 火曜 雨
起床:六時五十分
就寝:二十時二十分
登校:八時二十分
下校:十四時四十分
藁草り。
朝起きて見るとしとしと雨が降っていた。ちやうどこぬかゝ絲のやうであった。学校に行って本を見た。算術は五角形を作くった。読方をした。地理、続いて地理を二時間してそうじをして家へ来て、藁草りを一足作くった。
二月十四日 水曜 晴
起床:六時三十分
就寝:二十時二十分
登校:八時四十分
下校:十五時二十分
体操をした。子守り
昨日の雨も止んで霧がとてもまいていた。そしてからりと晴れて学校に行った。少しおそかった。そして馬がきた。ボールをした。算術の時に昨日作くった五、六角形を先生が見た。四時間目に図画をして次に体操した。竹登り、国民体操、鉄棒等をした。
二月十五日 木曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時二十分
登校:八時二十分
下校:十四時四十分
子守り
今朝は少し朝ねぼうをしてしまった。日は東の空に出て居た。そして帳面をかった。学校に行って見ると、健康けんさなので馬が来て居た。いろいろ見た。竹登りもした。四時間で家へ来て*1みやを子守った。
*1:この日四時間であったのは、松山職業紹介所の「製紙工業女子労務者就職斡旋の映画並に講演会」(『東京日日新聞』埼玉版 昭和15年2月13日)が学校であったからだろう。
二月十六日 金曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時四十分
登校:八時十分
下校:十五時十分
山へ行って木を切った。やかんのふたがとんだ
今朝は学校へ行くのに早かった。行ってから、外に出て半頭棒に登った。機械体操もした。算術もした。二時間目にに地理をして、次に書方をした。四時間目に庭に集まってから、三回石はこびをして家へ来て山へ行って木を切った。
二月十七日 土曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時三十分
登校:八時二十分
下校:十三時十分
かつぎ出し。
二郎君は大低【大抵】おそひ。そして来たのでかけ足で行った。もう沢山居た。こまをまわして居る者も居る。半頭棒に登った。機械体操もした。二時間して三時間目から大そうじなので僕等四人で庭そうじをして家へ来て山へ行って守とかつぎ出しをした。
二月十八日 日曜 晴
起床:七時十分
就寝:二十時三十分
登校:
下校:
大風である。
今日は日曜日なので早く起きて温床を作くった。支度をしておぢいさんと守と三人で山へ行って木をかつぎ出した。富士山も少し見えた。昼前に二回はこんだ。昼を喰べてからはこんだ。そして家へ来て子守りをした。とても大風であった。
二月十九日 月曜 晴
起床:六時四十分
就寝:二十時二十分
登校:七時五十分
下校:十五時二十分
実習をした。農業考査
[欄外]農業考査
支度をしてふと見ると時計が止んで居たのでかけてから学校に行った。山下君家に居たが使の為自転車で行った。半頭棒に登った。一時間目に農業科の考査をした。理科をしてからそうじをして実習をして家へ来て子守りをした
古里兵執神社建国祭執行。
二月二十日 火曜 雨晴
起床:六時二十分
就寝:二十時二十分
登校:八時十分
下校:十五時二十分
かんのん様*1
学校へ行きながら雨が降って来たので傘を持ちに来た。村田にも持って行ってやった。雨は次第に降って来た。一時間目がおはるころは雨も止んだ。山中鹿之助を読んだ。体操をしてそうじをして先生の手伝をして家へ来てかんのん様へ行った。
*1:根岸観音の祭典。
大河村葬執行。
二月二十一日 水曜 晴
起床:六時二十分
就寝:二十時二十分
登校:八時二十分
下校:十五時二十分
山へ行った。
天気なのでヅックをはいて学校に行った。半頭棒に登った。朝礼の時にいくつかのちゅういをきいた。ボールも少しした。算術は平行四辺形を書いた。体操もした。図画をして家へ来て山へ行って手伝をした。今日は風はない。
二月二十二日 木曜 晴
起床:六時十分
就寝:二十時四十分
登校:八時
下校:十四時四十分
庭の大そうじ
山下君は朝当番なのであった。村田君が来たのですぐ出かけた。そして同きう生の村田君等と一しょに行った。今日は早かった。自習かあるので地図を書上げ、水戸黄門を読んだ。五時から庭の大そうじで石ひろい等をして家へ来て子守り。
元菅谷村長岩澤弥市、サイレン、校旗、青年団旗を鎌形小学校に寄贈する。
二月二十三日 金曜 晴
起床:六時二十分
就寝:二十時四十分
登校:八時三十分
下校:十四時四十分
朝起きてまきをひいた。そして支度をして学校に行った。いつもよりおそかった。自習の時に本を読んだ。朝礼をした。いろいろのせいしょをかへした。四時間で、大そうじをして家へ来て又まきひきをした。
二月二十四日 土曜 晴
起床:六時三十分
就寝:二十時四十分
登校:八時四十分
下校:十二時
まき切り。
今朝は少しおそくおきてしまった。支度をしてまきを切った。そして学校に行った。自習をした。算術の時に捲土重来の話を聞いた。二時間で家へ来てまきを引いてひるを喰って草つみに行って来てまき切りをした。
大蔵青年団、帰還した野口宗平の三十三社参り実施。
二月二十五日 日曜 曇晴
起床:六時四十分
就寝:二十時二十分
登校:
下校:
まきつみ。子守り
朝までねこが寝て居た。そして起きてまき切りをした。まきもわったりつんだりはこんだりした。父と馬小屋のこひとりをした。昼を喰って子守りをした。明日はうら和のしはん学校の校長先生が見にくる。夕方まで子守りをした。
二月二十六日 月曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時四十分
登校:八時十分
下校:十三時十分
まきまるき。
今朝もねこが寝て居た。起きてあたって支度をして学校に行った。今朝は早かった。風が吹いて居たが朝礼をした。うら和の校長先生が来た。修身を見てくれた。二時間、三時間と自習をした。家へ来てまきまるきをした。二十ぱ位はまるった。
二月二十七日 火曜 晴
起床:六時四十分
就寝:二十時三十分
登校:八時二十分
下校:十六時十分
農業当番てあった。
朝起きて支度をして学校に行くのである。そして浅間山が噴火して灰がたくさん降った。それを紙に採って居た。朝礼はしなかった。算術の時、先生は居なかった。手工の時、ウマをほった。農業当番なので先生の帰って来るのを待って居てして来た。菜*8をもらった。
*8:白菜。
二月二十八日 水曜 晴
起床:六時五十分
就寝:二十時四十分
登校:八時二十分
下校:十四時二十分
体操の時館趾のせつめい
今日は使をするので自転車で行った。藁を持って行った。算術は円の所をした。国史もした。珠算の時に一時間で自分で問題を作ってやった。体操の時畠山重忠公館趾の所へ行ってせつめいを聞いた。家へ来て草履を作り始めたが子守りをした
二月二十九日 木曜 晴
起床:六時三十分
就寝:二十時四十分
登校:八時十分
下校:十一時三十分
べんとうばち
皆集まった学校に行った。べんとうを置いた。外でボールをした。修身をした。読方をして理科をした。自習をした。べんとうばちがこげてしまった。家へきてざうりを作りそれから田へ行って日の暮れるまでつぶてぶちをした。