第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし
権田本市『吾が「人生の想い出」』
第三部 青年時代
こんな事件のある中、北支駐屯軍で秋季大演習も実施された。吾々も参加。北京から八宝山と云う所まで行ったが演習といっても弾丸が出ないだけで実戦さながらのような状況にさえ感じさせられた。
権田本市『吾が「人生の思い出」』 1989年(平成1)8月発行 42頁
部隊に戻って語り合う時、吾々が初年兵に話す言葉にも冗談とはいい乍ら、来年の夏頃には始まるぞ、そして誰かが戦死したなど新聞見るのではなんて話し合った事があったが、冗談が実現してしまったのが昭和十二年七月七日盧溝橋事件だった。真先に吾々のいた部隊も出動して、吾々の初年兵だった幾人かが戦死してしまったのである。