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第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし

第2節:回顧録・作文

大塚基氏編『ある夏休みのことです』

7.仕事 えいこ

 私がせんたくをしていたら、かあちゃんが、「せんたくをしちゃったら桑ばら*1の草むしりに行くべー。」と言ったので、私は、「やだ。」と言いま した。かあちゃんが、「なんでー。」とまた言ったから、私は、「暑いからやだ。」といったら、とうちゃんが、「でっかいなりして遊んでいちゃ*2だめ だ。」と言ったので、「いぐよう*3。」とゆったら、とうちゃんが、「草けずり*4を持て。」と言った。そこで私は、「そのかわりキャンデーをかってくん ないな。」と言ったら、とうちゃんがお金をくれたので、四本かってきて一本つ*5分けてやったら、一本あまったので、とうちゃんと私で半分におっかいて、 とうちゃんにやったら、私のがおっこってしまったので、とうちゃんのキャンデーをくれた。
 みんなは、なめきってから草むしりを始めた。私のだけ残っていたので草取りをしながらキャンデーをなめた。
  そしてだんだん暑くなってきたので、いそいで草むしりをしていたら手の切った所がぴりぴりといたくなったので、それからは急いで草むしりをしなかった。そしたらだんだんと背中と頭を、日光の暑いのがさしてきたから、てぬぐいをかぶった。そのうちにお茶休みに家にいってお茶をのんで手ぬぐいをあらった。
 すぐにお昼になると言うので、私はいがなかった*6
 とうちゃんとかあちゃんは草むしりに行った。あと少しでお昼のサイレンがなある所だったのでより一生懸命にしていたらお昼になった。
  私はお茶をわかしました。お茶をついでいたら、とうちゃんとかあちゃんが来たのでおひる*7をくった*8。なおいちが眠っていたが起きてしまったので、か あちゃんが乳をくれたら、乳を少しっきり*9しか飲まないで、手を茶わんにつっこんで、ご飯をこぼしてしまったので、かあちゃんが拾っていたら、はしをつ かんで口に入れるといったから、私が菓子をくれたらおっぱなした*10
 おひるが食い終わったら、茶わんをふやかして、あとや*11の道へ行って涼んだ。

*1:桑ばら…桑畑
*2:いちゃ…いては
*3:いぐよう…行くよ
*4:草けづり…草をけずる道具
*5:一本つ…一本ずつ
*6:いがなかった…いかなかた
*7:おひる…昼食
*8:くった…食べた
*9:少しっきり…少ししか
*10:おっぱなした…はなした
*11:あとや…裏の家?

大塚基氏編『ある夏休みのことです』 1994年(平成6)12月17日
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