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第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし

第2節:回顧録・作文

大塚基氏編『ある夏休みのことです』

6.夕飯たき かずこ

 私が桑つみから帰って時間をみたら三時半だった。六時頃になったら夕飯たきをしなければならない。まわすに計って*1、井戸に行って、釜をみがい た。すぐに光芳が帰ってきて、またすぐに遊びに行ってしまった。私も「遊びにいきたいなあ」と思った。それだけど、お母さんに言われた通りにしなければな らない。釜のまわりはきれいだったのでみがくのは疲れなかった。そこに利子ちゃんが遊びに来たのだけど、私は、「夕飯たきするのだから行かない」と言っ た。そしたら利子ちゃんはつまらなさそうに家に帰っていった。私はその時、「利子ちゃんはいいなあ」と思った。そのうちにとぎ*2終わったのでほっとし た。時計をみたら六時二〇分だった。私は急いでかまどに釜をかけた。くずぎ*3に火をつけて、どんどんもし始めた。くずぎは一度にぼうっともしつかっ た*4。それですぐに消えてしまう。そのうちに光芳と雅次が帰ってきて、光芳はお風呂に雅次は牛に餌をくれた。
 もしているうちに釜がにえたって、ふたのわきから湯気がぶくぶくと出てきたので、すぐにふたを取って少しもし火*5をひいた。
  そこにお母さんが帰ってきたから、「かあちゃん、おしる*6をにいるの*7。」と言ったら、「にいな。」と言ったので鍋を洗ってかまどにつっかけた。そし てすぐに煮えてしまった。おばあさんが来て、「かずこ、ごはんは煮えたの。」といったので、私は、「おばあさん、煮えたよう。」と大きな声で言った。そこ へ光芳が来て、「ねえちゃん、ごはんのおかず作ったの。」と言ったから、「まあだよ。」といったら光芳が、「早く作れよう*8。」と言ったのですぐに作っ た。ようやく終わったので、ほっとして外を見たらもう暗くなっていた。そして、道に出たらおじいさんと、お父さんが向こうから帰ってきた。お父さんが、 「かずこ、夕飯はできたの。」と言ったので、「とっくにできているよう。」と言った。家の中に入ったら光芳が、「ねえちゃん湯がわいたよ。」と言ったの で、私はいっとう先*9に、一人で入りました。はいったあとは疲れがぬけたような気がしました。その後、雅次と光芳が入りました。
 家の人がみんなそろって夕飯を食べる時、おじいちゃんが、「かずこの煮いた*10ごはんはおいしいなあ。」と言った。
 みんながそろって、「かずこのしたのはとてもうまい。」といった。私はとても嬉しかった。それで心の中で、私はこんどはまっと*11うまくしたいと思いました。

*1:まわすに計って…ますの米の量を計って
*2:とぎ…米を洗うこと
*3:くずぎ…松葉等の落葉
*4:もしつかった…燃えついた
*5:もし火…燃やしている火
*6:おしる…おつけ
*7:にいるの…にるの
*8:作れよう…作って
*9:いっとう先…一番先
*10:煮いた…煮た
*11:まっと…もっと

大塚基氏編『ある夏休みのことです』 1994年(平成6)12月17日
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