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第6巻【近世・近代・現代編】- 第5章:社会

第2節:福祉・社会活動

新生活運動

報告

新生活運動の実態

菅谷村新生活運動協議会役員会は、十月十二日午後二時から村役場で開かれた。当日の会議内容は、県協議会から依頼された市町村区域に於ける新生活運動の実態調査について、各部落地区の運動の実態の報告を地区委員に依頼することと、かねて本村協議会に於いてきめた「申し合わせ事項」の反省で、この件については種々の意見や反省がのべられて、協議会について非常に有益な示唆が与えられたと思う。その時に出された反省や意見について大要を記すと次のとおりである。
一、毎月十五日の農休については、あまり実行されていない。農作業は天候相手のものが多いので、野外作業は天気のよい日にして置かなければならない。十五日がよい天気であればどうしても仕事がしたくなるのは人情であるし、多年の農村生活の習慣もあつて、一斉休業はむづかしい。月一回の休日のあるのはよいことであるから、更によく研究して漸次農村の実情に合い実行のできるようにしたい。
二、時間の尊重、集合時刻確守については、あの申し合せ事項を作つた当時、稍々改善の姿が見えたが、月日のたつにつれて又くずれて来て、旧態依然となつて来たのは遺憾である。たしかによいことでなのであるから是非この習慣をつくりたい。あらゆる広報関係をつかつて、度々注意をよびおこし、更に強く推進したい。
三、旧い習慣の改廢について。節旬【句】祝いの男子の鯉のぼり一本は実行されないではないか。他村の親戚から貰う場合もあるからで、やはり一村に限らず広い地域のとりきめが必要であるとの意見が多かつた。
出産祝い病気見舞い等のお返しの件は、片祝を忌む風習があるから全廢はどういうものか、の意見もあつた。七ツの祝は両地区婦人会主催でやるので改善された。しかし家の内祝的にやるものも若干ある。婚礼について「見まい見せまい運動」は地域によつてはよく行われているが、又昔のままのところもある。葬儀は引物一品の線はよく守られているところが多い。しかし又中には全然顧みられないところもある。
しかし全般から見て、あの「申し合はせ事項」の出来てから改善されたところが多い。根気よくくりかえし反省しながら、推進して行くことが必要であるとの意見が圧倒的であつた。
後で県特定地区の遠山地区員山下重平氏から、遠山地区におけるこの運動が古くから行はれていたことと、又今後とりくむ課題について非常に内容の充実した発言があり、又他の委員からこの運動と村の政治との関係についての発言があつた。新生活運動は、個人の生活の刷新からはじまつて一般社会の生活に及ぶものであり、例えば公衆水道や道路の問題となると、自然的に村や県、国の政治問題に関係が生ずることになり、目標を大きくとればこの形になることは当然である。
しかし名をこの運動に仮つて些々たるものにまで、他の補助を受けるようなことがあれば感心できない。との意見もあつた。
尚菅谷地区に有線放送施設をすることを強く要望する意見が圧倒的に多かつた。
(金子慶助) 

『菅谷村報道』127号 1961年(昭和36)11月30日
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