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第6巻【近世・近代・現代編】- 第4章:教育・学校

第3節:中学校・高等学校

『青嵐』

三A 浅沼ムツ子

山々はあれくるう
木の葉はもぎとられ
どこまでいくのだろうか
上へあがったかと思うと
見ているまに
どこかへきえさってしまう
この嵐はいつまで続くのだろうか
あてもなくあれくるっている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

努力 三A 高橋イク子

明日は試験
これだけは覚えなければ
ああ 又間違えた
だめだ やり直すのだ
あの人は笑っている
自信たっぷり どうしてなのだ?
皆秀才という 私には思えない
私にも以前貴女と同じ事があったのよ
その試験が早かっただけよ
と笑顔が映る
そうなのだ!努力
毎日を 積み重ねて行く事なのだった
誰も努力!
努力なのだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

桑つみ 三B 山下逸郎

ポキポキとても良い音だ
まるで指でもならすような
桑の乳は白くねばる手が真黒
親指と人さし指の間はよごれていない
母がいった「きこりの切るような音ではだめだ」と
僕はつんだ「ポキポキポキ」いい音だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

草むしり 三A 梅保矩子

畑で草をむしる
時は二時頃
頭の上からは太陽がじりじり照りつける
顔からは汗がたらたら
暑くて苦しいくらい
でも負けないで草をむしる
その時ひやと涼しさを感じた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

卒業を前に 三B 根岸信江

卒業……
親しい友と別れる
   卒業
よくなれた
校舎 テニスコート
みんないやおうなしに
別れなければならない
親しい友と別れること程
つらく さみしいことはない
なぜか
友が遠い遠い所へ
いってしまうような
もう友と
あえないかもしれない
こんな不安を残している
残りの六ヶ月余り
有意義にすごそう
なに一つ心残りのないように

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夕日 三B 中村敏明

明るい真赤な光が私の目をさした
おもわず目をつぶる
それは山に入ろうとしている真赤な太陽の光
光が家々の屋根にあたってひかる
細い木までが赤い太陽に照らされ
赤く見える
自分の影が長く尾を引く
雲はゆっくりと流れる
真赤な太陽が山の中に隠れた
山の向こうの空が明るい
遠くの山がクッキリと浮び出す
雲は日光に反射して赤くひかる
ゆっくりと流れながら
つめたい風がほほに走る
やがて雲も淡いもも色に変って
しまった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

春の足音 三A 忍田政江

どこの木もみんな
枯葉を落とし
早く目を出そうとしている
もがかずに
じっと待つがよい
春はやってくる
春の足音が聞こえてくるよう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

タバコ 三B 権田ハツ子

電車が動き出した
動き出すと同時に
私のわきの人がタバコをふかし始めた
私はむせてせきが出た
私はわざと変な顔をしてその人を見た
それでもその人は知らん顔して
タバコをふかしてた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

学校へ来る道 三B 内田裕子

いつもいつも同じ道を
同じように行く
学校へ来る時も帰る時も
その道を通って行かなければならない
うれしい道
楽しい道

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

N病院抄 武藤節子

  I 思慕
あなたの肉体は
色素をすべて
昇華し クリーム色の
懶惰の中にねむる

冬は遠く
電車のひびきに
昼がゆく

ほのかなみどり色の
ランプシェイドよ

  II 変貌
<あなたもかわりました
 昔の可憐な少年は
 やんで青年となり
 肺を抱く

<わたしもかわりました
 白々とつづくennuiの中から
 わたしは想いを
 病院の裏山の
 切株に静止する

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夏の朝 二A 関口豊

夏の朝はすがすがしい
まっさおに晴れた空
すがすがしい風
その晴れた空の下の
すがすがしい風の中に立つ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

しもやけ 二A 権田美津子

自転車の
ハンドルにぎる
その手には
しもやけができている
赤くなってふくれている
ああかゆい
おもわず口からでてしまう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夜 二C 大野喜久

かえるが鳴く
石をたんぼへ投げ入れた
耳をすますと
少しずつ少しずつ
かえるが鳴きだす
夜はかえるの世界だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

星 二B 内田仲次

夜輝やいている星
夜でなければ見られない星
ふろから上り星を見る
星を見ると気分がすっきりする
北斗七星 天の川 いろいろな星
いろいろな色を出している星
きれいに輝やいている
星がすーっと流れる
遠く永遠に輝やいている星
いつかはあの星に行けるだろう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夜 三C 関根利雄

静かだ
風もない
月が大地を明かるく照らし
空には星がきらめく
黒き大地は静かに眠むり
巨大な姿を横たえている
やがて夜も深まり
大地はひえていく
時計がボーンとなった
明日も大霜だろう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

冬の登校 三A 内田晶子

かたくこおった道を
学校へいそぐ生徒たち
私もその中の一人だ
小さなほほを赤くして
学校へいそぐ
手も寒さで赤くなっている
みんなのはく白い息
そして私のはく白い息も
いつのまにか消える
そしてこれからも休みのないかぎり
学校に通う
元気な子供達にまけぬよう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

空と雲 三C 内田文子

遠くかすんだ
どこまでも広い空
あっちでもこっちでも
母雲が小雲を空から空へとよんでいる
でも
一体 どこまでいったら
空が終るのだろうか
あ!!向こうから飛行機が
空をぐんぐん飛んでくる

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

足音 三A 中島光江

一人で暗い道を歩いている
後からだれかがつけてくるような足音が
聞こえる
ふと 見ると
だれもいない
また歩くと 同じ足音がする
私はこわくなったので
いそいで歩くと
まだついてくるようだった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

波 三C 大野賀江

砂地を
ピシャッと
岩にたたきつけるように
波がよせてくる
その清い色を
どうして
砂の中に残していかないのか

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

朝 二A 大野幸子

目がさめた
母が戸を開けている
起きて外を見た
前山にうっすらと もやがかかる
庭へ出た
土は しっとりとして
草には玉のつゆが乗っている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

霜 二A 星野怜子

床を離れた
膚を刺すような寒さ
雨戸を開けたら
あたり一面真白だ
霜が
ピカピカと輝いて
とても美しい
屋根からは湯気が立っている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

月 二C 中島圭子

夏の夜 私は外へ出た
何もする事がないので
すずみ台にすわって
空を見た
まん月がすばらしくきれいだった
月はいいなあー
あんな広い所に
のんびりとしていられて
私も月のように
のんびりとして
いたいなあー

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

木 二B 高橋いち

みどりの山々は
風がビュービューふいて
雨がザーザー降っても
まけずに
いきいきしている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

せみ 二C 田畑三夜子

ジーと
せみが鳴いた
始めはあまり鳴いていなかったが
しだいに鳴きはじめた
ああうるさい
いっそうはげしく鳴く
にくらしいからとってしまおう
とりにいくと
私をかまっているように鳴いている
あみをそっと上にむけると
にげてしまう
あんな小さなせみにばかにされるなんて
にくらしい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

太陽 二C 高野益男

朝早く起きた
まどを開けて外を見ると
太陽がまぶしく光っていた
まだのぼったばかりだ
外に出て
大きく一つ深呼吸すると
空気がとてもうまかった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

しょうじ 一D 杉田まさ子

障子をはりかえた
くらい家も明るくなった
すみからすみまで良く見える
そうじをするにもよく出来る
これじゃあ
もっと 早く
はりかえるのだった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

月 一B 根岸早苗

窓をあけた
さびしそうにもみじの
葉の間から
まんまるい月が顔を見せた
もう うさぎさんも寒くて
もちをつくのをやめたろう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

早朝 一B 根立源次

やっと夜があけた

山頂から生まれ出た太陽が
山の一角をとらえた
いただきの山々は ことごとく光かがやき
そよぎはじめた
金色の火花をちらして
太陽と朝のあいさつをかわす
私の心もすがすがしく
鳥もよろこびいさんでいるだろう
新しい日のたん生だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

朝のつゆ 二C 清水利雄

ぼくが朝おきると
外できらきら光っている
遠くから見ると
すずらんのように
お日様にてらされて
きれいに光っている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ふろ 一D 中島操

僕がおふろをわかしていると
おじいさんが「ふろがわきそうだからかんましてみろ」
といった僕は「うん」とへんじをした
僕がふたをあけたら
ゆげがゆうれいのように
ゆらゆらあがって僕の顔にあたった
ほおがぬくとくなった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ねこ 一D 長沢てる子

私の家のねこは とってもかわいい
このあいだもらったばかりだ
こぞこぞと 呼ぶと
とんで来る

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

先生 一D 中島高正

学校帰りに
先生に行きあった
いうことがなくて困った
わかれ道に来た
先生に
「さようなら」といって
かけだした

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

花 二C 岩沢哲夫

机の上に
ただ一輪さしてある百日草
この間庭先でとったのだ
この花一つで
机の上がきれいに見える

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

くも 二C 岡本宗平

雲が白く青い空にういている
くもはどのくらいたかく
ういているんだろう
ぼくたちが雲に話しかけても
雲はだまってういている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雲 一D 吉野ひろ子

雲は白い
私は雲を見ると
食べたくなるようだ
くもの上で 昼寝をしたら
いい気持だろうなあ
私は雲がきにいった。

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

いね 二C 小沢清二

やっと一米ほどにのびた稲
ひびわれた田
堀には一滴の水もない
穂の出はじまったいねも
日でりにはかなわないのか
色つやがうすれ
葉はやがて枯れていく
かわいそうな稲

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

買ってもらった長ぐつ 一B 関口八重子

ほしかった長ぐつを
やっとかってもらった
新しいにおいがぷんぷんとする
もうこれで雨がふっても
雪がふっても
学校が楽しみだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

百日草 二C 藤井久子

百日草の花が庭にさいている
まっかな色をして
元気よくさいている
百日草の花のように
元気でじょうぶなからだになりたい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

石 一B 宇野良明

川に魚つりにいった
深いか浅いか
石を投げてみた
石はたまげたように
あわだけ残してしずんでいった
なんだかかわいそうになった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

そうじ 二C 大久保春江

ガタガタと机をよせる音
スースーと床をふく音
さわがしい やっと終った
ピカピカ光った床
きちんと並んだ机
さっぱりとした気持のよさ
ああ
よかった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

とかげ 二C 富岡勝也

ちょんぎられたしっぽ
くるくると 動いている
すばらしい生命力だ
このしぶとさだから
ちょんぎられるんだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ちょうちょ 二C 簾藤正代

ちょうちょはいつも
ひらひらと
どこへ行っても飛んでいる
あの美しいりん粉も落とさずに
どこまでも
どこまでも
飛んで行く
ちょうよ
この美しいちょうこそは
山をこえたり
川をわたったりして
やっと出て来た
広々とした野原
美しい花にとまって
ねむれねむれいつまでも
美しきちょう
またあおう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夜道 二C 小林朝光

テレビを見に行った
暗い暗い星もない夜だった
かい中電灯で道を照らしながら歩いた
わきの竹やぶでガサ!という音がした
あわてて走り出した
走ってるうち家の灯が見えて来た
ああよかった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

木の葉 二C 杉田千恵子

風にとばされ
人間に踏まれ
犬にまでふまれ
その犬は便までかける
木の葉は強い風がさっと来て空高くまい上がる
時には旅行が出来る
風にのっての旅行
水に流されての旅行
人に運ばれての旅行
もし風がなかえれば
ただそこにいて
ふみつけられるだけだ
木の葉は
風 川 人に救われるのだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

つばめ 一B 須沢耕次

電線にとまっているつばめは
オンプのようだ
ドドラソあとはつづかないがあれを見ると
歌を歌いたくなる

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

波 一B 根岸早苗

ザザザー ザザザーと
うちよせる波
貝をひろう私の足に
波がザザザーとかかる
ふと後をふりむくと
私の足あとは波できえていた
遠く水平線に
白いヨットのホが
夕日に光っていた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

鉄棒 一A 滝沢幸子

鉄棒にとびついた
両手の筋肉がぐっともり上る
一回り回った
空と地が反対になったような気がした

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ゆうやけ 一B 小実一子

こもりをしながら
かしの木をとった
木の間からゆうやけが見えた
山はゆうやけにそまっていた
てっぺんだけが
赤くすきとおった
山がゆうやけに
浮かんでいた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夏の夕暮 一A 根岸育子

じりじりとてりつける太陽
あつい真昼
家の中にいても
せみの声はきこえる
山にもいる
森にもいる
林にもないている
ひまわりもまけないように
太陽のようにもえている
黄色い花びら
黒いような土色のようなたね
それがいくつもある
あしたもこのような
昼でしょうか

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

梅の花 二C 木闇恵子

ふっくらと
つぼみをもった梅
いつになったら開くのか
あの匂いきれいな花を
私に早く見せておくれ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

霧 一A 石川たかし

朝やけに
まどをあけると
一面にきりが
けむりみたいに
もうもうと
たちこめて
遠くの物は
なにもかもが
ボーッとかすんで見えた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

冬の朝 一A 永井和弦

寒い
外は真っ白だ
田畑も 道路にも
一面のしもだ
秩父の山々は
雄大に白く光っている
昨日まで
あんなに暖かかったのに
今日は 氷がはり
冬が足早にやってきた
人家のはずれに
川が静かに流れていた
その川の橋も
真っ白だった
かばんをかたにかけた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ねこ 一A 大野しづ江

えんがわには日があたっている
ねこはあたたかそうにねている
ふとんの上にきどったようにねている
のどをごろごろならしながら
きもちよさそうにねている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

秋 一A 中島伊久江

青々とすんだ空
くっきりと白くうかんでいる雲
山々には色ずいた木々が
あちこちに見られる
このままで 今のままで
いつまでもいつまでも
いてほしい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

霜 一B 浅見謙二

ぼくは起きた
体が凍るような寒気さに
カーテンを開いて見れば
一面白く霜がおり
遠い白いの山々がうすく
うかんで見えた
ぼくは思った
もう秋も終りだなあと

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

いちょう 一B 西彰子

いちょうの葉も もう
ちるばかりだ
ちってしまうと
はだかになってしまう
さむいだろうなあ……

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

時計 一C 柿沼とし江

きのうも
きょうも
ぜんまいのきれぬかぎり
こわれぬかぎり
朝からばんまで
一日中動いている柱時計
じっと見ていると
ふりこの動きくひのつけられて
私の首まで
自然に動いていた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

太陽 一D 久保三夫

じりじり照りつける
夏の太陽
その太陽の下で
みんなが
暑さにまけず働いている
太陽は
高く高く
上っていく

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

冬の朝 二A 原田道子

起きてみる霜がまっ白だ
野原も家も
ここの家の屋根も
顔を洗う水も冷たい
学校へ行く道も
霜でざくざくと足がふんごむ
先行く人々もみなたばこでもすっているのか
おお寒い
おもわず手に息をかける

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夕立 二A 根岸トヨ子

「ゴロ、ゴロー」
とかみなりの音がした
一分とたたぬうちに
雨が降ってきた
洗たくものはほしてある
牛はでている
父と母で
一生懸命にいれている
子供達はおっかなくなったのか
かやにもぐっている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

冬の夜 二C 根岸良子

冬の夜ただ一人机に向う
シーンとして物音一つしない
秒を刻む時計の音
やけに耳をつく
ゴトッと後で物音がしたようだ
はっとして振りかえる
何事もなかったようだ
シーンとして
静けさがあたりをつつむ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

自転車 二A 斎藤ヨシ子

自転車を走らせると
風の音がする
風が私をおいこすとき
私の顔や手を
音をたててたたいてゆく

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ポチ 二A 中島弘美

茶色の毛をもつポチ
私がそばへ行けば
とびはねたり
顔を私にこすりつける
だからとってもかわいい
でもちょっとこまる
夜になるとよくほえるので
道を行く人がこわがる
「ポチだめよ」というと
しっぽをふりふり顔をさげ
そして私におせじをつかってくる
やっぱりかわいい犬だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

入道雲 二C 杉田隆夫

秩父連山のむこうから
ゆうゆうと立ちのぼっている入道雲
みるみる広がり
頭の上にまで来た
するとあたりが暗くなった
暗く重い入道雲
黒くおおわれた夏の空

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

影 二C 森田利治

僕の足をおって来る物
それは影だ
道いっぱいにひいて
僕が歩けば歩き
止まれば止まる
僕の背たけも
この形ぐらいあればいい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

秩父連山 二C 内田光忠

遠くに 見える
秩父連山は
まっ白に 雪をかむり
清らかに そびえている
その むこうに
武甲山が
高々と そびえ
その雄大さが しのばれる

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

星 二B 根岸伸之

星よ 星よ
おまえはなんで
夜おそくまで光っているんだい
寒いのかい
何かほしいのかい
もっと もっと
楽しそうに
光って見せてくれ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

火事 二B 高橋喜美子

今日も火事のサイレンが鳴っている
火事によって財産を失い
人間の命まで取る火事
火事はおそろしいものだ
火の気をなくしておけば
火事はおこらないのに
またサイレンが鳴っている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

春 一C 内田泰司

「寒い」
冬というと
寒いというのはふつうだ
こたつにはいって
ねてしまったりする
夏がいいといっても
冬がいいといっても
なにか不平はあると思う
だが
春というのは
名前を聞いてもいい気持だ
春は
こたつに入らなくてもねむい
まったくいい
おれはなにもかも
春になるといいと思う

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

木の葉 一C 成沢正雄

木の葉の上に
乗っかった葉
風にふかれて
落っこった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

梅 一C 中島照夫

梅の花は
私の胸をすがすがしくしてくれる
優美な初春の
陽がまぶしい
風は
まったく死んでいる情景だ
裏の山では小鳥が鳴いている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夕立 二B 松本幸子

ぽたっぽたっとトタン屋根をたたく
あっ雨だ
東の空でぴかっと光った
かみなりだ
雨も強く降り出した
地上をたたくと鋲のように見える
とよから流れ出る音もする
あたりはうす暗い
家の中だけが明るくにぎやかだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

山 二C 中島かづ江

夏の山は
いつも緑だ
緑の山を見ていると
暑さも忘れる
この間まではまっ青だった山も
もうすっかりもみじし
赤、黄、だいだい色に変った
山をみると
こころが暖まる
四季によって変化する山
山は私の心の着物だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

せみ 二C 篠崎富也

夏の日にうるさいほどなくせみ
子供達は長い棒の先に
ふくろをつけてせみを追う
とろうとすると小便をして
ちょっとにげてしまう
そして
又ほかの木に
子供達はなおも追う

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

すずめ 二C 吉野百合子

山の中にはいって見ると
とてもすずしい
どこからか、すずめの声が
「チュッ、チュッ」と聞こえてくる
楽しそうな歌声だ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

あさがお 二C 内田信雄

あさがおに
はいのぼる木を立ててやった
むじゃきにその木を乗り越えて
柿の木にからみついた
柿の木のほうがよいのだろうか
俺にはあさがおの気持はわからない
毎朝花を楽しそうに咲かせる
いきいきしたみどりの葉をもって
あさがおは健康そうだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ハト 二C 関根貞夫

朝の冷たい空気をさくように
グー グー鳴いている
えさ箱をのぞくとからっぽだ
腹がへったのか
えさをくれとのさいそくか
グーグーと鳴いている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

母とホームルーム 二C 中島圭子

今日もホームルームが長い
やだなあー
けさ家を出てくる時お父さんの言った言葉が頭にうかぶ
「圭子お母さんが寝ているんだから早く帰っておいで」
私は早く帰りたい一心だ
でもこれからすることはまだある
清掃、習字、音楽練習、と頭につぎつぎとうかぶ
お母さんが家で寝ていることも
どっちにしようか
家に帰ってお母さんの看病してやろうか
それとも学校の仕事をしていくか
私は迷った
いいや 今日は帰ろう
明日学校に来て
先生におこられるかと思い
気が気でなかった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雲 二C 馬場園子

青空にぽっかりうかんだ白い雲
真綿のようにも
スポンジのふとんにも見える
あるいは
ホワイトシャツにも見える
草の上にねそべって
空を見ているといつしかすずめが
白い雲をつっきって空をとんでいた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ふうりん 二C 内田元之

外に出たら
風があって暑かった
二階を見たら
ふうりんがつるしてあった
風がふうりんにあたると
ふうりんの音がチリンチリンとした
ぼくは涼しく感じた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

星 二B 瀬山利子

夜空に光る星
「キラ、キラ」と光る星
じっと見ていると
こちらをにらんでいるような星
この星に
何万、何億という星がある
その星の下で
茫然と立つ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

本 二B 吉町ひろ子

新しく買ってもらった本
ぷうんとにおう印刷のにおい
中をひらくと
こまかい黒い字でいっぱい
やっぱり新しいのはいいなあ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

『でき事』と『日』 二B 木村博明

今日は何が
明日は何が
いつも同じようには終らない
ある時はやな日
ある時はうれしい日
でき事と日がめくられていく
いつになっても
かわりない

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

花 二B 栗原みよ

私たちの心を明るくしてくれる花
私たちの心を美しくしてくれる花
花の命はわからない
いつまでもいつまでも
その姿でいてほしい
長い間咲いている花
すぐしおれてしまう花
今度つぼみを開く時は
花好きな人にかわいがって
もらうんだね

   菅谷中学校生徒会報

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

風 二B 吉野なか

風はピューピューふいている
私の顔をそっとなぜて行く
あたたかい母の胸にだかれたように
あたたかい母の手でなでてくれるように
私も風のように飛んでいきたい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

鉛筆 二B 星野和子

新しい鉛筆を
けずったら
ぷうんといいにおいがした
新しい木のにおいだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

小さな木材 二B 権田利男

川の小波にのって
小さな木材がながれている
ゆらゆらとらくそうにゆれている
木材の上にはあめんぼうが一ぴきのっていた
太陽の光でまぶしくみえなくなった
あのままどこまでながれていくだろう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

青空 二B 権田頼子

どこまでも
青く澄んでいる空
その広い空の中で
ぽっかりと浮いているただ一つの雲
まっ白でいまにも
スウーとおりてきそうだ
そんな雲に
一度でいいから乗って見たい

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夜道 二B 小林益治

月にてらされて
白くきみわるく
光っていた
ぼくは振返った
だれもいない
いつしかぼくは
駆け出していた

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夏の朝 二B 笠原健

まだ太陽は地平線から顔を出していない
濃い霧があたりをつつんでいる
物置の方から
コオロギの鳴き声が聞こえる
そんな朝、ぼくは
犬を連れて家の付近を散歩する
とても気持が良い
遠くでどこかのおじさんが
草刈をしている

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

朝 二B 木村一枝

時計が六時半をさした
かけておいためざましがなった
しかしあたたまったふとんから
なかなかでられない
思いきって起きた
とても寒い朝だった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ツララ 二B 森百合子

大きいツララ 小さいツララ
朝の光にキラッと光った
ツララは屋根の下に
一列にぎょうぎよくならんで
雪の朝をかざっている
冷たいツララ
私はそのツララにそっとさわってみた
雪の朝は
ツララといっしょに
やってくる

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

青空 二B 根岸能利江

まっさおな空に
雲が所々にうかんでいる
その雲は風にゆられて
どんどん飛んで行く
あの雲はどこまで行くんだろうな
私は思う
そのうちにだんだんはれて来て
雲一つない青空になった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雲 二B 米山令子

ぽっかりと浮いている雲
雲は一人だ
話し相手もいないのに
にこにこと笑い顔をしている
雲! 雲!
雲は一人でさみしくないのだろうか?

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

夕立ち 二B 中村弘

昼間は青空がすきとおるほどきれいだ
夕方になって
空一面に黒い雲がおおいかぶさった
雨がぽつりと落ちて来て
遠くの方でかみなりが鳴り
雨戸をしめた
だんだんかみなりが近くに来た
「パッ」電気がきれた
しばらくして電気がつき
雨もやみ
かみなりも遠くへさって行った

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

飛行機 一B 滝沢重子

青い空に まわたをひいたように
ふんわりと
白いけむりが一本
どこまでもどこまでもつづいている
ジェット機の通ったあとだ
音も聞こえない
飛行機も見えない
白いけむりだけ残して
通ってしまった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

この道 三C 大島武雄

「さようなら」と
みな学校を去って行く
毎日僕が帰る細い道
いつかはこの道も変わるだろう
僕は将来の事を考えながら
家にと向かった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

ろうそく 三C 能見勇

白い体に骨一本
簡単なやつだ
火をつけると暗い光をともす
しかし、やつの心はすばらしい
自分を犠牲にして、
相手を明るさに包む
数十分の短い生命をむだにしない
火をつけられると
やつは涙をこぼして
短い生命を刻々とすごしながら
とけ去って行く
やつは目だたない
いいやつだ
立派なやつだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

朝 三C 中島みよ子

スタッ スタッ
学校に向かう
私の足音だけが聞こえる
まわりには
もう誰の姿も見えない
私は 急に孤独におそわれる

頬をなでて
北風が通りすぎる
赤く染まった遠山が映々しい
私は
山に向かって
思いきり深呼吸をした

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

秋の山 三A 内田晶子

こんもりしげった森は
秋を知らない
いちょうや、もみじは又今年も
秋を知った
遠くの山を見ればポツンポツンと
青々した木が見受けられる
それが秋を知らない木が
秋の肌寒い感じを受けた木は
葉の色も変わり
しまいには葉も落ち
やがて木はからぼうずになった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

飛行機雲 一D 谷みつ枝

空を見あげると
青空の中に
飛行機雲が
自由に線をひいている
いったいどこまで
ひいてゆくのだろう

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

月 二C 川島敏子

月の光が雲にしみこんでいた
月は青く光っていた
黒い雲が月をかくした
けれど
遠くの遠くの雲まで
月の光はしみこんでいった

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雨あがり 二C 中島とも子

雨がやんで外へ出た
水たまりにちぎれた雲がうつっている
にわとりが二、三羽歩いている
静かだ
そのうち
せみが鳴きだした
だんだんにぎやかになっていく

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雲 二C 根岸シゲ子

まっしろい雲が
うごこうともしない
あのやわらかそうな雲
私達の頭の上で何を
見ているのか
長い道を私のあとを
どんどんおいかける

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

金魚 二C 関根千代子

はちの中に金魚が二匹
赤い体と白い体がすいすいと……
ときどきあわを出している
この暑いのに暑さも知らず

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

雲 二C 河井良子

朝起きて
なにげなく空を見た
澄きった青空に
ぽっかりと浮んだ白い雲
小さい雲 大きい雲
絵に書いたような雲
じっと見ていると
風にとばされて行くようだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

緑色 二C 長島正美

緑といえば木だ
木にはあらゆる緑がそろっている
黄緑から暗い緑まで
こんなにある緑
よくこれだけ同じような
色があるものだ
みんな少しずつ色がちがう
どこをみても目に映る緑色

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

氷 三A 笠原輝子

雨あがりの朝
水たまりに氷がはっている
そっとのると
バリバリとさけてしまった
手にとると うすく
ガラスのようだ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

秋の空 三C 金井とも子

秋の空は 美しい空だ
雲がポツンと
浮いていた
秋の空

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

菊 二B 杉田正男

まっ白な菊が
暗い床の間に輝く
清らかな花
美しい菊の花だ
その菊を見ていると
静かな落ち付きをよぶ

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

川 一C 高橋倫子

川はしずかに流れる
川の水がすんできれい
それで
めだかのおよいでるのが
よく見える

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

短歌

       二年C組 根岸良江
夕ぐれの 道行く人の あとあとに
  こおろぎの歌 さみしくきこえ

       一年D組 根岸久仁代
こけむした 一つ一つの 石のひに
  昔をしのぶ 山の細道

       三年B組 河井直子
晩秋の さみしく暮れる 夕ぐれに
  心をさそう 母のおもかげ

       三年A組 小林ちい子
夕闇の 川原に真白き ホウセンカ
  はぜる袋に 秋風ぞ吹く

       三年A組 大野寿代
夏の夜の 空に花咲く 遠花火
  話を聞きて 子供喜ぶ

       三年B組 浅見一弘
いまもなお かすかにうかぶ 冬の日の
  先生の家の 黒竹のやぶ

       三年A組 秋山又三
家じゅうで そだを拾った 日を思う
  ゴルフ場となりし わが山を見て

       三年B組 根岸正男
もみじの葉 まい落ちながら 顔なでるつきをみて
   おもいだきさわるつきみそう

       一年B組 内田みち子
春かぜに おわれてかえる ひぐれ道
   ものながれ うつくしき

       二年C組 根岸良江
夕ぐれの 道行く人の あとあとに
  こおろぎの歌 さみしくきこえ

       三年B組 河井直子
晩秋の さみしく暮れる 夕ぐれに
  心をさそう 母のおもかげ

       三年A組 小林 ちい子
夕暗の 川原に真白き ホウセンカ
  はぜる袋に 秋風ぞ吹く

       三年A組 大野寿代
夏の夜の 空に花咲く 遠花火
  話を聞きて 子供喜ぶ

       三年B組 浅見一弘
いまもなお かすかにうかぶ 冬の日の
  先生の家の 黒竹のやぶ

       三年A組 秋山又三
家じゅうで そだを拾った 日を思う
  ゴルフ場となりし わが山を見て

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

俳句

つるし柿しょうじにうつる昼さがり     二A 高橋正江
木枯しが電線鳴らし夜ふかし        〃  米山公一
菊いけて友のくる日をまちにけり      〃  関根利次
風の吹く方に顔むくとんぼかな       〃  高橋康男
ほうさくをたのしみながら草をとる     〃  吉野光男
朝みればきれいにさいたゆりの花      〃  金井好太郎
北風に波はゆられて金の星         〃  内田ノブ子
しもばしらづぶづぶしずむたんぼ道     一B 須沢耕次
霜柱太陽あびてくずれゆく         〃  関富子
かえり道夕日にひかる赤い柿        一A 杉田代志枝
季節風吹きまく畑に麦をふむ        〃  西沢公雄
きのことりひとつもとれずかなしそう    〃  滝沢正夫
けんかする弟のこぶ一つふえ        〃  瀬山一郎
のうはんき一家そうででさつまほり     〃  権田晴枝
ひわの群どこかの山へとんでいく      〃  杉田長生
ひんやりとほおにつめたきすきま風     〃  村田初子
アマリリス小さなカビンにあふれ出る    一B 内田みち子
とれあきやたわらでくらいだいどころ    〃  吉野節子
うぐいすが家のうらからなきだした     〃  内田岩夫
こがらしがピュピュふいて顔かくし     〃  奥野進
イナゴとりみぎえひだりとにげまわり    一B 松本博司
夕風に首をすくめてねこぜなか       二B 杉田とめ子
ゴウゴウとたきの音に耳かたむく      〃  富岡くに江
あおぞらに小さくみえることりかな     〃  金子綾子
たき火していも焼くけむりほのぼのと    〃  金井章
小春日に川面にうつる猫やなぎ       〃  杉田恵子
遊びどきおち葉集めて首かざり       〃  山下花子
夜がふけてまひるのような雪げしき     〃  金井秀子
雪の中ぽつんと一つ赤いきれ        一A 関千江子
青い空雲がぽっかりおどってる       〃  奥平文代
三雨にぬれ風にとばされる黄落葉      〃  高橋なお
夜の星とてもきれいにひかっている     〃  小川美佐子
日曜日母のことばにかきをとる       〃  奥平義夫
むぎふみにつめたくあたる冬の風      〃  新藤きみ代
冬の朝たきびしながらいもをやく      〃  柴村初
うえきばにぽつんと一つきくの花      〃  金井玉江
南天のひときわ赤き霜の朝         二B 簾藤恵美子
山行けば青葉の木々の美しさ        〃  深沢明子
青空にすいすいととぶ赤とんぼ       〃  金井ヨシ子
夏の夜の静けさやぶるにわか雨       〃  深沢章男
庭さきにゆりの花さく時をまつ       〃  山下当雄
夕焼けの空いちめんにがんのむれ      〃  小輪瀬芳男
夕ぐれのどてにまっかな野火の道      〃  岡本昭男
赤とんぼ夕やけ空にあすをよぶ       〃  根岸まつ
冬の朝ほっぺた赤くいそぎ足        二A 吉野昌男
落ち葉はく母の顔にも汗が光る       〃  簾藤玄之
秋空にバレーボール飛んでいる       〃  岡野秀子
道ばたにほろほろおちる落ち葉かな     〃  野沢修一
北風は髪をみだしてにげて行く       〃  坂之上恵子
ゆきがふりいぬはよろこびまるく      一B 関根一徳
ゆうぼしやひとつひかってまたひとつ    〃  大野操
散歩道ただ一面にもみじの葉        〃  小実一子
とりごやにぶらりとさがるかぼちゃかな   〃  野村久仁江
学校へいそぐこどもの息白く        〃  秋山由美子
夕空を見上げた時にカモのむれ       〃  根岸勤
写生する紙の上にも落葉ちる        〃  大野博司
おおぞらにたかくそびえるふじのやま    〃  高橋元和
冬がきた冬はどうしてさむいのか      〃  山下週作
むぎふみやからすも土手をあるいてる    〃  大野愛子
だんだんとこうろぎのこえたかくなる    〃  根岸きく江
すみやきのけむりは高く日は西に      〃  根岸とし子
きりのため朝の太陽うすくぼけ       〃  山岸マキ
くさはらにぽつんとさいた赤い花      一A 小林なお子
かしぐねにすずめが二ひきとまってる    〃  関口富男
霜柱ふみつけて行く一年生         〃  木村進
秋の空円をかいてるとんびかな       〃  根岸義信
寒空にさびしくとぶやながれ星       〃  清水ゆり子
木枯やふいて立ちさる耳もとを       〃  加藤梅子
木枯や夕日にひびくこもり歌        〃  山下由一
たいふうのあしあとみればキズふかし    〃  権田達美
青空に飛行機雲が絵をかいた        〃  内田博
のき下にかわをむかれた赤いかき      〃  根岸育子
秋空にたかくそびえる秩父山        〃  中島久雄
いつよりかことしのあきはしづかなる    〃  海保八重子
かきのきにぽつんとひとつとうかんや    〃  富岡和子
きじんさまあくをはらってふくわうち    〃  小沢和吉
なんてんの花と花とでにらめっこ      一C 内田富江
病気の子ハエを見つめるさびし顔      〃  小林みち子
秋去りて我が家の池にはや氷        〃  山崎てる子
夏の日にかぜにゆられるふうりんよ     〃  根岸政子
山登り落葉をふんでかけ上がる       〃  西沢あさ子
秋の山赤や黄色できれいだな        〃  吉野定子
夕やけにねぐらにいそぐカラスかな     〃  高瀬佳美
教室を明るくかざる菊の花         二A 村田イセ子
机上に咲く花一輪美しく          〃  秋山栄子
松林ひときわ目立つかえでかな       〃  小林信子
枯草の中に一輪野菊かな          二A 河井初代
麦ふみに力を入れるおばあさん       〃  會田睦雄
冬の川あたたかいのかゆげを立て      〃  鯨井正美
朝あけて小鳥の声もうれしそう       一D 長島しま
山々は赤くそまって美しい         一C 高橋かよ子
しもの朝くわの葉落ちるがさがさと     〃  西沢きく代
電線で小鳥さえずる秋の朝         〃  中島加代子
せみが鳴くそれにこたえて木がゆれる    〃  権田のり子
いちょうの葉ままごと道具にあそぶ子等   〃  岡本さなゑ
秋の日に山へいくのはたのしいな      〃  大島宣子
朝早くみんな元気で学校へ         〃  瀬山恵美子
寒い朝おちばがちってる庭の上       〃  関根きよ子
林にはきれいに落葉がちっている      〃  関口まさ男
しもどけに足がつめたく手もさむい     〃  馬場道子
しもの朝みんな喜ぶたきびかな       三C 新藤昭子
北風の電線鳴らす寒き夜に         〃  馬場光
桐の葉も霜にこぼれて冬の朝        〃  根岸富美子
おおじもで桑の葉おちる寒さかな      〃  深沢利夫
朝早く配達すれば涙ぐむ          三C 内田茂
秋の月かげをうつして水流る        〃  吉野道男
かげろうのもえたつのべに麦をふむ     〃  浜野一重
麦ばたけそよ風に立つ小波かな       三B 中島考雄
仔兎のハラを増しけり霜の朝        〃  内田稔
青空に浮くように飛ぶ赤とんぼ       〃  滝沢秀夫
冬深く木のてっぺんに柿ひとつ       〃  内田満
にわさきの霜にたおれ菊の花        〃  中島宣夫
雨や音もしずかにやわらかき        〃  篠崎昌子
夕やけにひとしお赤きもみじかな      三C 小沢安定
家のすみずらりとならぶほし大根      三A 大沢康二
しもばしらぎゅっとふみしめ登下校     〃  吉田勝
さむい日に元気にあそぶ子供かな      三C 権田昌之
北風が青い畑に小波うつ          〃  奥野正雄
コスモスにつんとすました赤とんぼ     三A 宇野秀章
カキ一つ残り最終の年のくれ        〃  内田恒男
北風やこのはをはきに松林         〃  小宮利一
鳴く鳥の声もうすれてさむざむと      三C 杉田宗男
木の上にぽつりとのこるかきろとう     三B 須川光男
風の吹く夜のさびしさ窓の外        三C 杉田フサ子
麦の芽は、風にふかれてのびてゆく     〃  小林ミチ子
冬深くおちばあつめてたき火かな      三B 高橋章雄
枯葉落ち野山もみんな冬景色        三C 馬場恵美子
夕やみにとりかこまれるかかしかな     三A 金井幹雄
電線にひとつふたつとたこのあし      〃  富岡利一
北風におどりつかれし落葉かな       三C 杉田司郎
冬枯れのすべてを燃し夕日落ち       〃   〃
冬の朝つめたさこらえこめをとぐ      〃  高橋昭平
北風に頭をたれる枯れすすき        三B 杉田勝次
霜柱ふみしめ行くは朝の道         三A 大野益一
霜の朝はな赤らめて道いそぐ        〃  富岡成爾
山道に野ぎくが一つ咲きにけり       三B 滝沢和江
たにがわに人にめだつもみじかな      〃  長沢節子
しもばしら日に照らされてキラキラと    〃  小林たか
木の上にぽっかり浮かぶ雲ひとつ      〃  吉田行男
白銀にうずまる西の秩父山         三C 多田弘
ゆうゆうとかげろうのぼる田んぼかな    三B 中島キヨ子
山かげの村は小さし冬木山         〃  忍田喜代子
障子はり心もせわし年のくれ        〃  杉田啓一
夕やけに包まれていくがんの群       〃  金井宏
みどり濃き葉かげにゆずの色ずけり     〃  長島稜子
田んぼ道せまいながらもなえはこび     〃  長島勝
冬空に夕日かたむく西の空         三C 石川正裕
ゆうやけの空たかだかとからす鳴く     二B 長島秀夫
しもの朝一すじけむりたきびかな      一C 杉田静生
のき下にずらりと並ぶつるしがき      〃  内田賢
登校の細き道にもたっぺはる        〃  富岡実
うぐいすも春よこいこい待っている     〃  根岸茂夫
冬の日に母は畑で麦をふむ         〃  清水秀夫
山々がまっかにそまる秋の山        一C 西将雄
正月やみんなそろってこままわし      〃  関根利夫
夕空にとんびがくるりとわをかいた     〃  根岸伸
カタカタと音も高らか麦まき機       〃  山下良夫
青空にぽっかり浮ぶ白い雲         〃  栗原昭次
夕やけに赤くそまった水の色        〃  大沢利夫
うめの花春よ早くと待っている       〃  遠藤富三
春風やたつまきもったからっ風       〃  内田完夫
冬の日に二階に見えるつるしがき      〃  板谷雅夫
冬の朝しもが一面きれいだな        〃  長島純夫

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月

川柳

じせつがら 火の用心も 良く出来た    一A 杉田 かつ江
ねあがりに ふとらぬブタに 気があせり  〃  小林 ひろ子
せんめん所 母ゴトゴトと ひとりごと   〃  深沢 きよ江
夕立に 追われてにげる 子供たち     二A 内田 和夫
さかな取り 行きたいときに 雨がふり   〃  内田 信二

菅谷中学校生徒会誌『青嵐』13号 菅谷中学校生徒会報道部, 1962年(昭和37)3月
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