第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光
千手堂青年部 農産物品評会開く
十二月九・十・十一日の三日間にわたり、第三十七回農産物品評会並びに第一回兒童学藝品展示会が千手堂青年部主催によって同部落里仁堂(公会堂)に於て催された。穀菽*1・蔬菜・園藝等各般にわたつて二五〇点の出品を見、特に今年は白菜・甘薯の品質に飛躍的向上が見られたが、根菜類は昨年度に劣る傾向がうかがはれた。優良品二〇点を選び夫々に実用的佳品(籠・熊手・笊)等を與へた。尚今年は同青年部試作地で落花生の新種八種を栽培し、種子用として驚異的廉価で販賣(売)し部落民から心からの喜びと感謝とを受けた。兒童学藝品の出品は一〇七点で金銀赤賞をえらび各々に佳品を與へた。部落民、老も若きも、眼をほころばし、更に他部落からの参観者も加へて延八百人の盛況ぶりであつた。尚此の品評会の運営資金は、一反歩の青年部試作地の農産物賣(売)上げ金を主とし理髪其他青年部の奉仕的事業による収入によつてまかなはれた。
『菅谷村報道』10号 1950年(昭和25)12月25日
同部落青年部長瀬山節男君は次の如く語つた。
「大正二年(1913)以来、三十七回の回数を重ね、持続出来ましたことは、部落民の強い後援があつたればこそです。若い青年達にとつては、他部落の青年達が自由に遊んでゐますのに、会場作り、受付け、審査、あとかたづけと仲々大変ですが。多くの人々に喜ばれたことは、やり甲斐を感じます。農産物の品質の改良と共に、青年の試練の行事として漸進的に発展を期し度いと存じます。」
※穀菽(こくしゅく):穀類と豆類。