ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光

第2節:歴史人物・旧跡

杉山城跡

杉山城跡 国指定史跡に
比企城館跡群(じょうかんあとぐん)として

杉山城跡|航空写真
国指定史跡 比企城館跡群 杉山城跡

比企城館跡群

 平成19年11月16日、文化審議会から文部科学大臣に答申が出され、杉山城跡が国指定史跡になることが決まりました。
 指定の名称は『比企城館跡群』で、既に指定されている「菅谷館跡」に「杉山城跡」、「松山城跡(吉見町)」、「小倉城跡(ときがわ町・嵐山町・小川町)」が加わり、4つの城館跡の広域指定です。
 比企地域には中世の城館跡が30か所以上あります。中世前半は畠山重忠をはじめ多くの武蔵武士の活躍を背景として、中世後半は関東管領上杉氏の抗争と後北条氏による関東支配を背景に、これらの城館が造られました。
 比企地方の城館群はそうした歴史的背景の重要性に加えて、城郭研究史上極めて重要な位置づけがされ、城郭の博物館といわれるほど全国的に貴重な文化財であることから群として広域に指定し、国として後世に伝えるべき史跡となりました。

国指定史跡までの経緯

 杉山城跡が国指定史跡となる準備は、平成13年に文化庁調査官の視察から具体的に始まりました。
 翌14年度からは発掘調査が始まり、17年に開催されたシンポジウム「埼玉の戦国時代 検証 比企の城」などにより、指定に向けての学術的な裏づけがなされました。この間、平成16年には「杉山城跡保存会」が杉山地区を中心に設立されました。
 また、16年度からは玉ノ岡中学校の学校林として、毎年生徒によるボランティア活動により整備が進められてきました。
 こうして指定申請に向けての準備が整い、平成19年1月から地元・地権者説明会を開催し、地権者の同意を得た上で7月末に文部科学大臣に指定申請を提出しました。申請を受けた国は、文化審議会に指定するべきかを諮問し、今回の答申を受けて指定を決定しましたが、実際の指定は国の官報告示が出されてからとなります。

杉山城跡

 杉山城跡は、戦国期城郭の最高傑作と絶賛され、以前から全国的に注目を浴び、多くの見学者が訪れていました。
 これは、江戸時代の軍学書に記されている城郭技術が杉山城に殆ど盛り込まれていて「山城の教科書」と呼ばれるほど複雑で技巧的な形態をしていることからでした。
 しかし、これまで杉山城跡に関する文献資料がなく、高度に完成された城にもかかわらず、誰がいつ造ったかなどがわからない謎の城でもありました。
 5年間にわたる発掘調査によって城の年代は15世紀末から16世紀初頭で、関東管領上杉氏が山内・扇谷の両家に分かれ、古河公方も交えて3つ巴の抗争が繰り広げられていた中で造られた城であることがわかってきました。
 また、これまで文献資料がないとされてきましたが、16世紀初頭に古河公方が「椙山の陣」に在陣していたことを示す史料もみつかりました。
 なお、杉山城跡の指定区域面積は136202.78平方メートルで、19名の地権者の所有する30筆と町道の一部が含まれます。

杉山城 郭配置図
杉山城 郭配置図

小倉城跡

 小倉城跡は、これまでときがわ町の主要な郭部分のみ県指定史跡となっていましたが、今回の比企城館跡群の指定申請に際して、杉山城跡や松山城跡と同様に山裾までが山城として保存すべき範囲とすることとなり、槻川までの西側斜面の嵐山町遠山と小川町下里の一部が新たに小倉城跡の範囲に含まれることになりました。
 なお、小倉城跡の指定区域面積は97108平方メートルで、23名の地権者の所有する60筆と嵐山町・ときがわ町の町道の一部が含まれます。このうち嵐山町は27330平方メートルで、5名の地権者の所有する12筆と町道の一部が含まれます。

指定後の予定

 国指定史跡になると、国の許可を得て保存・活用のための整備が進められることになります。そのためにはまず「保存管理計画」を策定し、これに基づいて「保存活用計画」が策定されます。これにより杉山城跡をどのように保存・活用していくかが具体的に決まり、ガイダンス施設や駐車場・トイレなどの便益施設のほか、山城としての復元施設などが作られることになります。
 また、国として後世に伝える史跡となることから、公有地化が進められることになります。

杉山城跡へのアクセス・ご案内

 杉山城跡には現在、駐車場がありません。城跡の玄関にあたる大手は積善寺の北側、墓地の上になります。個人で見学にみえる方には積善寺の駐車場をご好意により使用させていただけますが、台数に制限があります。まとまって見学される際には玉ノ岡中学校に連絡をとり、許可を得て駐車場を使用してください。トイレは玉ノ岡中学校体育館前の外トイレが使用できます*1。なお、平日は授業が行われていますのでご注意ください。
 また、杉山城跡に関する簡単なパンフレットが教育委員会生涯学習課にあります*2
問合せ 生涯学習課 内線【省略】

杉山城跡|地図

*1:現在は、現地に仮設トイレが設置してある。
*2:その後、新たに作成したパンフレットを現地に設置している。また、役場文化スポーツ課(元・生涯学習課)にもパンフレットあり。

嵐山町広報『嵐山』200号 2007年(平成19)12月1日
このページの先頭へ ▲