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第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政

第3節:昭和(町制施行後)

嵐山町

文化の視点で考える
       ——嵐山町町民文化大学——

 昭和五十四年(1979)に、嵐山町は県の文化行政推進事業のモデル町として指定されました。
 それから二年間にわたって論議を重ねた結果、五十六年(1981)に誕生したのが町民文化大学です。
 嵐山町の美しい自然や、歴史に残る多くの文化遺産を守り、継承しつつ、さらに新しい里づくりを、文化の視点から考えるということで町民文化大学が設けられたのです。

里づくりに向かって

 今年は数えて七期目の受講生を迎えることになります。
 里づくりの学習の場として毎年、おおぜいのかたが熱心に聴講したり、各種の体験を重ねています。
 こうした学習を通して、町民文化大学は単に、個人の教養や、ゆたかな趣味を身につけることだけを目標にしているのではないのです。
 多くの町民が、ゆたかな人間性と、高い見識を身につけることで、ふるさとである嵐山を、さらに深く理解することにつなげてほしいという願いがこめられています。

公開されている講座

 受講生の全員が参加する必修コースは、里づくりのための基礎となるべき教養講座として、受講生の共通の問題をいっしょに考える場としています。
 この講座は、各界に活躍する人を講師として招き、その豊富な学識や、経験から、里づくり、人づくりについて学ぼうというものです。
 つまり、嵐山が、より文化的に発展するためには、何をどうすればよいかを、大局的な立場で考えるものなのです。
 この講座の一部を公開講座としていますが、今年度はつぎの二回が予定されています。
①十月十八日(日)一時半より
「埼玉県の動物相と自然保護」 講師 須甲鉄也氏 埼玉大学名誉教授
同時上映「オオムラサキがとぶ日」
②十一月二十二日(日)一時半より
「人生らくがき帖」 講師 はらたいら氏 漫画家
 町民文化大学受講生以外のかたも自由に参加できます。

ゆたかに生きるために

 受講生が一堂に会して学ぶ必修コースと併せて、専門的に学ぶ選択コースがあります。
 従来からの文学、俳画、健康の各講座のほかに、今年は二つの新しい講座が設けられました。
 読書講座と、コミュニケーション講座です。
 読書講座は、七月に開設された町立図書館と呼応して、おおぜいの人たちに読書の楽しさを知ってほしいことと、読書を通じて、家族の対話をはかり、家庭教育の一助になることを願いとしています。
 コミュニケーション講座は、もっとも今日的な課題を選び、現代社会に通じる見識とともに、未来を先取りする実際的な知識を学ぶものです。
 さしあたって、今年度は、「情報」をテーマとしています。働きざかりの青壮年層にも参加してほしい講座です。

ひとりだちしたOBたち

 昭和五十六年(1981)に開設されて以来、町民文化大学の修了生は、のべ千人を超えています。
 その修了生の中から、自主的なグループが生まれていることは特筆すべきことではないでしょうか。
 一つは、第一回の健康講座から「歩こう会」が結成されたことです。
 例会が定期的に行われ、すでに、東上線沿線は踏破し、健康的な仲間づくりが徐々に広がっています。
 もう一つは、「嵐山やきもの研究会」で、これも第一回のやきもの講座の修了生でつくられたのがはじまりです。
 めきめきと腕をあげている会員の中から、今年の県展ではみごとに入選という快挙も成しとげています。
 (やきもの講座は講師の都合で休講中です)
 こうして町民文化大学で学んだものが形となり、少しずつ、静かに動き出している事例、これこそ里づくりの一歩といえるのではないでしょうか。
(運営委員 武谷)

『嵐山町報道』356号 1987年(昭和62)8月25日
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