第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政
旧菅谷村・七郷村
尖端をゆく菅谷村「資本家に重く村民に軽く」
付加税率を倍加して農村救済に比企郡菅谷村では過般村会の決議を以て本年度県税雑種税中、軌道税、電柱税に付き、大胆にも付加税率を従来の百分の七十から一躍百分の百五十に引上げたところ、県は異例として事由書の提出を求めて来たので、同村では農民の疲弊甚だしく大資本家の援助を求めたき旨の事由書を提出して許可を得、今日、東京電燈、東武鉄道両会社から第一回徴収を終った。これにより同村では一ヶ年三百五十円八十銭の増収を見ることになり、これを財源として貧農救済を行ふ事となったが、不景気の時節柄、村民は大喜びである。同村は比企郡無産団体の根拠地だけに、「資本家に重税、村民に軽く」といふ村税徴収の尖端(せんたん)を行くものとして郡下各村の注目を引いた。
『東京日日新聞』(埼玉版)1930年(昭和5)6月18日