第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
比企郡神社明細帳
埼玉縣武蔵國比企郡七郷村大字吉田字宮田
村社*1 昭和二一、一〇、一五 法人登記済手白神社(てじろじんじゃ)
*1:村社(そんしゃ)…江戸幕府は寺院を通じて民衆を掌握していたが、明治政府は神道中心の宗教政策に転換し、1871年(明治4)に神社の社格制度を定めて神社を通して民衆を掌握していった。これにより埼玉の場合は大宮の氷川神社を官幣大社、次を県社、郷社、村社、無格社と定めた。村の鎮守は村社となった。この社格制度は敗戦により1945年(昭和20)に廃止になった。
一、祭神(さいじん)
手白香姫命*1
大貴巳命(おおきみのみこと)外六神
大山祇命*2
金山彦命*3
高霊神*4
市杵島姫命*5*1:手白香姫命(たしらかひめのみこと)…手の神。
*2:大山祇命(おおやまつみのみこと)…山の神。
*3:金山彦命(かなやまびこのみこと)…鉱山、鍛冶(かじ)、金属技工(きんぞくぎこう)の神。
*4:高霊神(たかおかみのかみ)…水を司る神。
*5:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)…水の神。一、由緒
天治(てんじ)元年(1124)九月十五日創立。明治四年中(1871)村社届濟(とどけずみ)。大正五年(1916)二月廿四日神饌幣帛料供進神社*1ト指定一、社殿 本殿 拝殿
一、境内 二百八十五坪
一、氏子 拾壹戸
一、境内神社
稲荷神社
祭神(さいじん) 倉稲魂命*2
由緒 不詳
大正二年(1913)九月二十三日同大字字宮山(みややま)村社六所神社境内社稲荷神社、同大字字陣屋(じんや)村社峯野神社(みねのじんじゃ)境内社稲荷神社、仝大字字長竹(ながたけ)無格社(むかくしゃ)稲荷神社ノ三社ヲ本社ヘ合祀ス 社殿 本殿*1:神饌幣帛料供進神社(しんせんへいはくりょうきょうしんじんじゃ)…勅令にもとづき、祈年祭、新嘗祭、例祭に神饌幣帛料を供進された神社。郷社は県から、村社は村から奉納された。
*2:倉稲魂命(うかみたまのみこと)…五穀(ごこく)の神。由緒追記
「昭和38年度文書 埼玉県学事課 比企郡神社明細帳」
大正二年(1913)九月二十三日同大字字宮山村社六所神社、字陣屋東(じんやひがし)村社峯野神社、同境内社琴平神社(ことひらじんじゃ)、字西ノ谷村社五龍神社、字宮田無格社巖島神社(いつくしまじんじゃ)ノ五社ヲ本社ヘ合祀ス
大正九年(1920)九月二十日本殿改築許可仝年十月二日竣工
昭和十三年(1938)四月二十八日隣接山林百三十三坪境内取擴(とりひろげ)竝(ならびに)上地(あげち)許可