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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第8節:稲村坦元先生原稿「菅谷村史」

鬼鎮神社

大字志賀第一川嶋區ニ在リ、元七郷村大字廣野ノ飛地*1タリシ當地ノ民有祠*2ナルガ、明治二十二年(1889)本村ニ属シ村社トシテ遠ク都鄙*3ニ鳴レルモノ名社タリ、由来(ゆらい)鬼神又ハ近林ニ雉子(きじ)ノ群棲セルヲ以テ雉子之宮ト称號セルヲ、革命*4ノ際爰(ここ)ニ奉仕シタル社掌*5並ニ敬神有力ノ人士等相議(はか)リ相賛(たす)ケ、遂ニ官准*6ヲ仰ギテ現称尊號ヲ奉上シタリシモノ、主齋(さい)御柱ハ則チ賽神*7ニシテ、神苑*8ノ風光粛清*9ナルニ加ヘテ巨松、喬椙*10美櫻、好楓*11ノ景物ニ富ミ、社頭森厳*12ニシテ宏壮ナリ、春秋ノ大祭毎月ノ恒祭ハ勿論平日モ遠近ヨリ群参(ぐんさん)絶間(たえま)無シ、世傳*13ニ當社ハ「畠山重忠菅谷城鬼門鎮護ノ神ト崇(あが)メテ奉齋*14シタルモ、重忠亡(ほろ)ビ後世力ヲ盡シテ主宰*15スルモノナキヨリ、永ク衰微シテ在(お)ハセシ」ト云ヘリシガ、今ヤ重忠時代ニヲサヲサ復セントシツヽアリ

稲村坦元先生原稿「菅谷村史」

*1:飛地(とびち)…同じ行政区に属するが他に飛び離れて存在する土地。
*2:民有祠…人民の所有する社。
*3:都鄙(とひ)…都会と田舎。
*4:明治維新のこと。
*5:社掌(しゃしょう)…社司の下に属した神職。
*6:官准(かんじゅん)…国の機関に準ずること。
*7:賽神(さいしん)…塞神(さいのかみ)。道祖神(どうそじん、さえのかみ)。
*8:神苑(しんえん)…神社の境内にある庭。
*9:粛清(しゅくせい)…静かでしーんとしていること。
*10:喬椙(きょうしょう)…高い杉の木。
*11:好楓(こうふう)…このましいもみじ。
*12:森厳(しんげん)…きわめて厳粛なさま。
*13:世傳(せいでん)…世々に相伝えること。
*14:奉齋(ほうさい)…奉斎。神仏などを慎んでまつること。
*15:主宰(しゅさい)…主に切り盛りすること。中心となって運営すること。

鬼鎮神社(川島)

鬼鎮神社|写真1 鬼鎮神社|写真2
鬼鎮神社|写真3
鬼鎮神社|写真4
鬼鎮神社|写真5
鬼鎮神社|写真6
鬼鎮神社|写真7
鬼鎮神社|写真8

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