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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第7節:七郷村郷土研究(抄)

第一編 緒論

一、郷土研究の必要

 學校教育の迂遠となること從って小學校の卒業生が實社會へ出て役立たぬこと等を世間の者から聴くことは今始めてではないが自分等教育者の仕事は基礎的初等教育であるから實際生活と離るることは當然であると云はぬ許りに門外漢の駄評として聞き流すことは決して許さぬのである。
 教師は児童の脳中に何程記憶されているものがあるか。忘れてもよい即ち永久の不替紙幣を與へて置いても構はないと云ふ残忍なる考があるならばいざ知らず、苟くも自分の教へた事を多少なりとも彼等の日常生活に活用させるやうにしたいと云ふ同情心と熱心とがあったならば、是非共現今の状態に満足せずして之が工夫をせねばなるまい。
然り而して之れが方法としては郷土の直觀にあると思ふ。余は明治四十三年(1910)より之れに意を今迠しらべた。今それを茲に記し以て大方諸賢の高評を仰がふとするのである。要は郷土の直觀に結びつけぬ知識は大概無効徒労に歸すると断言してよいと思ふのである。

七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校蔵)
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