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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第7節:七郷村郷土研究(抄)

第二編 郷土研究

第四章 郷土の博物界

第三節 無生物の觀察

観察事項

1 建築材
 イ 耐水材料 岩石の土台、石階、橋梁の支柱等が其の主なるものである。これらは水蝕に抵抗し得べく、且つ霜氷の為めに容易に剥離、崩壊せさる堅硬の岩石が用ひられて居ります。 安山岩、花崗岩
 ロ 耐火材料 岩石の耐火材なることは論もない事であるが、大火の際には往々刎(は)ね割るることがあります。石蔵家屋の材料としてはもっと廉価なる凝灰岩(房州石)及砂岩であって、泥土及砂等でセメントを作り以て耐火材料とすることが出来ます。

2 陶磁器並に披璃(がらす)製造材料 陶磁器は食用器具として、披璃は燈火用、採光用の器具として、生活上、衛生上、娯楽上、一日も欠くべからざるものである。

3 発熱及び発光材
 イ 石炭 これは児童の生活の上に接近しては居らぬが工場、浴場等は皆これである。
 ロ 石油は日常欠くべからざるものになって居る。而し危険であるから火を近づけぬやう注意せねばならぬ。

4 貨幣材料 わが郷土からは、現今ではこれを産して居らぬ。

5 武器及び機械の原料 鉄、鉛(なまり)、錫(すず)、其他の合金であるが、これも産しない。また製する処もない。

6 研磨材料
 イ 砥石 砂岩(あら砥)のよいのを出して居る。其の他の粘板岩、石英粗面岩などはない。
 ロ 研磨砂、挽石磪【?】などはない。

8(ママ) 学用具、印刷用等の材料
 イ 粘板岩これで、硯(すずり)、石板、屋根板、印刷板等にするものであるが、これは産して居らぬ。
 ロ 石墨 鉛筆の製造に用ひ、或は鉄器にぬりて、其の錆(さび)を防ぎ、器械の回転部に塗りて摩擦を軽減し、粘土を混して耐火堝(るつぼ)を作るに用ひます。八和田村高谷からは多量にあるが別に使用せられて居らぬ。
 ハ 石灰岩 大河村近傍の山は其の骨脈皆この岩石にて、石灰を製して居る。
 ニ 食用 飲料水、食塩である。食塩は他から買入れて居る。

七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校蔵)
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