嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」
第2節:自然がつくった造形
1.ポットホール
嵐山渓谷の岩畳で見られる自然の造形で、最も目を引く物はポットホール(甌穴〈おうけつ〉)ではないでしょうか。
大きさや深さもさまざまな石畳にあいた円形の穴。
一見、人工的にも見えるこの穴は、水流により石が岩を削りできたものなのです。
岩畳とポットホール
撮影地点
梅雨や台風の洪水時、これらの岩畳は濁流に覆われます。
ポットホールの円柱状の縁の表面には、しま模様があり、これは大洪水の際に石が激しく回転してできたことを物語っているのです。
また、高い岩畳のところにあるポットホールは、かつてそこに水が流れていた証拠なのです。
- 嵐山渓谷のポットホール1
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写真の中央に、直径1m程の円柱状をしたポットホールが見られます。
水がたまり、落ち葉が表面を覆っています。 - 槻川が増水したときのようす
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川が増水し、ポットホールの中を水が流れます。
強い流れにより、中にある石が回転して、削られて大きくなります。
- 皆野町親鼻のポットホール(埼玉県立自然の博物館提供)
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この露頭は、1888(明治21)年、東大の小藤文次郎博士により、世界で初めて紅れん石片岩が報告された岩体のひとつです。
そこには、この見事なポットホールがあります。
ポットホールのでき方
ポットホールは小石が川底の岩のくぼみに入り、水流により回転することで岩が削られできると言われています。
詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、おおむね次の様に推測されます。
ポットホールのでき方
解説 | 断面図 | 俯瞰図 |
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Step 1 岩の割れ目などに小石がぶつかる。 |
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Step 2 割れ目に小石が入り、回転しながら周りの岩を削る。 |
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Step 3 次第に穴が大きくなる。 |
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Step 4 さらに穴が広がり、大きな礫(れき)も穴に入るようになる。 洪水のときなどには、特に大きな礫が入り、回転しながら岩を削る。 |
第2節:自然がつくった造形