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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第3節:法人組織

嵐山町母子愛育会昭和48年度合同研修会(1973年度)

味噌汁と指圧

              越畑支部・新井ハツエ

  手作りの味噌味よろしく夫も子も
       朝の味噌汁代へて吸いゆく
 ストーブの炊火にぬくもりながら、台所で私は今朝も味噌汁を作ります。汁の実は大根、ねぎ、白菜に油揚を使い、味噌は二番米を利用して作った自家製味噌です。主人も子供達も朝の味噌汁がないと眼が覚めないというほどの愛好家です。味噌汁といいましても私のところでは、実をたっぷり入れたおみおつけです。
 四季それぞれの野菜に、わかめ、麩、油揚、豆腐など三色以上の品物を使います。緑の野菜の少いこの頃では桑園の野草も立派な汁の実となります。なずな、よめ菜等は、一寸油いためして使えば美味です。
 勤務上の交際で、前日酒を過した主人も朝の味噌汁だけは必ず食べて行きます。朝の食事は余り摂らない娘も味噌汁だけは吸っております。
 汁の実をたっぷり使ったこの味噌汁を私は子供達の離乳食の第一番に使いました。どんな野菜でも味噌汁に入れてしまうと、子供は喜んで食べてくれました。5人の子供達は食べものに好き嫌いがなく、病気らしい病気もせず、健康で成長してくれました。これも皆味噌汁のおかげと今更ながら感謝しております。
 この家に来てから早25年、姑から受けついだ味噌作りを今でもやっております。そして材料もふすまから、麦、米と代ってきました。仕込み方は同様です。自家の味噌作りは何時までも続けて行きたいものと考えております。
 年のせいかこの2、3年、根をつめて編物、縫物等をやりますと、肩こりや、目の疲れを覚えます。ある晩主人が勤務先の図書館で借りてきたといい、差出されたのが浪越徳治郎さんの指圧の本でした。その晩ね床に入ってから、図をみながら「指圧の心は母心」といいながら指に力をこめて、頭から首すじ、肩、背と同じ場所を3回ほど繰返し指圧してくれました。体がのびのびと頭もすっきりして大変らくになりました。指圧をおぼえてから2年、時々交替してはつづけております。
 この頃では、それぞれのつぼを覚え、楽しみながら指圧ができるようになりました。小学生の末子も、今では私のつぼをおぼえ、上手に指圧してくれるようになりました。指圧に使う指は拇指で時には4本の指も一緒に使うこともできます。
 「孝行をしたい頃には親はなし」とか、4人の父母もこの世にはなく、身近に老人のおらない私の家庭です。肩こりだった此方の父に毎晩たたいてあげるしか術を知らなかったあの頃、指圧を知っていたなら、どんなに良かった事だろうと今、改めて悔まれます。
 今は若く、何の故障もない人でも、やがては年をとり、老人とならねばなりません。そして色々な疲れもでてくるでしょう。そんな時指圧を知っていて利用できればと思います。
 愛する御主人やお子様に、又お年寄にと、一家の健康のために、心をこめた主婦の味噌汁と、何の道具もいらず両手指でできる指圧を皆さんにおすすめいたします。
 発表するにはお恥ずかしく、拙い私の体験をつづりました。

嵐山町母子愛育会『昭和48年度合同研修会資料』
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