第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷地区・七郷地区母子愛育班合同体験発表会(1965年)
移動図書館の利用について
菅谷支部 中島初枝
人は誰しも常に、今日よりは明日、明日よりは明後日と進歩したい、向上したいと考えることは当然のことと思いますが、私達婦人にとって又子の母親にとっては中々思っていても実行することは容易なことではありません。そこで考えついた事が本を読もうという事でした。これなら子供の世話をしながら、又子供を寝かせつけながらでも、何とかできそうですが、さて、その本をどのように手に入れたものか迷ってしまいました処、移動図書館の本を利用してはと会長さんにすすめられ、以来ずっと毎月利用させていただいております。
菅谷地区・七郷地区『母子愛育班合同体験発表会』資料 1965年2月15日
本の内容も愛育会員としてお借りしますので、おのずと保健、衛生、育児、しつけ、食品関係ということになりました。夏の暑い最中、木陰で子供を乳母車にのせ、昼寝をさせながら、又冬は日向ぼっこをしながら本を読む、どこかの国の婦人はこうして常に本に親しんでいる事を新聞の婦人欄で読んだことがありましたが、そこまではゆかなくとも、何とか暇を作っては読書をしようと努力いたしました。
さて、移動図書館を利用するようになった動機をいろいろのべましたが、そこで本を読んだ感想を最近のものから一つ例をあげてみます。
品川不二噤E孝子夫妻の書かれた「しつけ相談」という本について皆さん(特に班長さん)にまとめていただいたのを紹介いたしましょう。
この本は1才〜2才の子供に対するしつけに関して具体的に質問形式により分り易く解答してあります。
(1)細かく良くしつけの様子が年令的に書かれてあり、初めて母親になられる人、又それを体験された人にも一度は目を通しておきたい本と思われます。
(2)子供と見比べながら育ててゆく上には大切な本であることを感じました。
(3)子供を叱る時の態度として、親が感情的にならないという事が大切である。
(4)子供の身になって考えてやることが大切。
(5)しつけをするには親が良い見本を示してやること。
(6)ごはんなど食べない時は無理にしいることなくさっさとかたづける様に。今までは小言を言いましたが、本を見ると子供は空腹なら必らず食べると云う事を信じる様に書いてありましたから、そのようにしました。又食器を変えたり、好きなものをのせたりしました。
(7)事故を防ぐ為にはどういうことが危険で、どのようなことが安全であるか、親は経験済みであると思いますが、子供にどのように話せば分るか困っておりましたが、高い所、例えば窓から物が落ちればこわれると云うように教えれば、初めて危険が子供にわかる様でとてもためになりました。
中々本を買ってまで読めませんので貸していただいた本をひまを作って少しづつ読みましたが、子供のためになることがいろいろと書いてあるので大変良かったですが、少くとも育児の上には「プラス」になった事は間違いないと思います。
皆さんに読書の感想についてまとめることをお願いしました所、いやがられましたが、こうして一つでもまとめてみると云う事は自分にとって、一つ前進した事ではないでしょうか。大変良かったと思います。何時までも生活に結びついた読書を忘れる事のないよう願っております。