第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
母子愛育会(愛育班活動)
愛育班役員として感じたこと
嵐山町第15支部 大塚清子
昭和50年度埼玉県東松山保健所管内『母子愛育班合同研修会資料』
私が昨年の四月愛育班の役員をお引受してから、早くも九ヶ月を過ぎようとしています。
嫁いで六年、四才、二才、八ヶ月の三人の母親として毎日自分の子供に追われているのが精一杯だったので、役員となっても果して支部のために働くことができるかどうか、本当に先の一年間を考えると重荷に思われましたが、今迄やっていただいた方も同じだと考えお引受けしました。
私の支部は、戸数16戸、小さい支部ですが全員愛育班に加入しております。毎月提出する訪問カードで以前こんなことがありました。十ヶ月になる発育の良い赤ちゃんでしたが、機嫌も良く下痢もしないのに七度三分位の微熱が続いたので、医者へ連れて行った方がよいかと、お母さんから相談を受けたのです。その時私は、こんな少し位の熱で医者に連れて行って笑われはしないだろうか、又、乳児は普段でも人混みは避けたいのに、小児科といえばどこでも混んでいて非常に時間がかかりますし、待合室にはせきのひどい人や高熱の人がたくさんいてかえって風邪をうつされてしまうのではないかとも思われ、本当に困ってしまいました。
お母様の膝にだっこしている赤ちゃんを見ていると機嫌もよいので、このままお母様があまり気をもまずに家の中で一緒に遊んでやっていた方が医者に行くよりもいいのではないかという気がして、それらの点を訪問カードの相談事項欄に書きこんでおきました。するとすぐ保健婦さんから、乳児の場合微熱でも医者に連れていく様にと手紙で指導を受けました。その時あれほど赤ちゃんのお母様と自分で判断に苦しんでいたのに、あの一枚のカードがこんなにも重要な役割をしているのだということを知り、私には本当に心強く思えました。それからは体重のふえないことや離乳期にリンゴ汁を一日一さじづつ与えたのに緑便になって困ったことなど細かにカードに書きこみました。そして体重は個人差があるからそれほど気にしないで結構ですといわれ、不安な時だけに保健婦さんの一言にホッとしました。
又、毎年行われている血圧測定ですが、私の支部では、今年残念乍らPR不足のため、一人も受けた人がいませんでした。自分の血圧はいくつ位と知っていても細かい注意などうっかりしている人も多いはづです。しかし、この機械なら血圧値のみならず、それぞれの人に合った具体的指導も保健婦さんから受けられますので、是非、多くの人に受けていただきたかったと思い、役員としての責任を感じると共に深く反省させられました。
国保の町の統計をみますと、三人に一人は毎月医者にかかるといわれていますが、その他の人でも決して健康は保証できませんし、自分の身体は自分で守ると申しましても、個人の力には限界があります。従って赤ちゃんからお年寄までが身近な機会を利用して、明るい豊かな生活が出来るよう、地域ぐるみの活動に少しでも協力していこうとするところに、愛育班活動の真の意義があるように思われます。以上、役員活動を通して感じたことを述べてみましたが、これからも愛育班活動が益々盛んになりますよう、一員として願っております。