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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第3節:法人組織

母子愛育会(愛育班活動)

愛育班活動はみんなの手で育てましょう

 愛育班が母と子の幸せのために活動をはじめたのが昭和三四年(1959)、その後十年を経過いたしました。当時の赤ちゃんは、離乳期における発育は悪く、栄養不良児は六割もいるほどでした。その他死産や未熟児出生の割合も高く妊娠中の衛生に対する問題がありましたが、役員の努力と会員の協力により妊娠の早期届出、検診のすすめ、日常生活や栄養など逐次改善され、今は赤ちゃんの発育もよくなり、未熟児出生も減少してきました。この現象は七郷地区の赤ちゃんに明らかに示されています。
 七郷地区の赤ちゃんは、合併当時の昭和三十年(1955)頃は、見るからに顔色も蒼くやせていましたが、現在は菅谷地区の赤ちゃんに比較して、勝るとも、見劣りする児は見られなくなりました。このような大きな効果は会員の活動の賜ものです。現在では家族ぐるみの健康を考え、死亡率の高い脳卒中、心臓病、癌などの予防を目ざして活動も広範囲に実施されています。
 四十四年(1969)度の事業を紹介しますと、乳児相談(年六回)、血圧相談(部落別)、料理講習(希望部落)、子宮癌検診、衛生講話(年二回)以上のような計画のもとに、実行していますが、その他に役員が赤ちゃんを妊娠している人を、毎月家庭訪問して、よき相談相手となっていると思います。これら事業の中には役場の衛生や国民健康保険の保健施設として行なう事業に協力的なものもありますが会員の自主的な考えのもとにすすめられています。しかし社会の流れは、日常生活を変え、婦人の就労傾向が高まり、共稼ぎの夫婦が多くなり時間的な余裕がなくなり、組織活動もむづかしい段階になってきています。
 又マイホーム主義で核家族化され、自分の城にとどまりがちの傾向にありますが、このような中にもいままでと異なった因子の問題が現れているのではないかと考えられます。乳児相談などにも見えられます母親の不安そうな態度は、誰れか相談相手をもとめているように思われます。
 立場の異った人々との話し合いの中から良い点を見い出し勉強し合って実際の面に活用することも大切なのです。赤ちゃんの養育も健康をまもることも、個人の意思によることは大切ですが、他人からの援助がなければ目的を達成することができ得ないことも、忘れてなならない存在でしょう毎日の生活の中で無理のない時間を生みだし、人と人とのつながりを持った母子愛育班活動を皆さんの手で育てていきましょう。
 母と子の幸せを願い、家族の健康を目標に多くの人の参加をお願いします。
(役場 保健婦) 

『嵐山町報道』204号 1970年(昭和45)5月20日
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