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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第2節:ボランティア活動

一歩の会

まちかど探訪

一歩の会

 志賀二区で地道なボランティア活動をしているグループ「一歩の会」を尋ねました。
 ともろう会から独立して四年、少しずつですが、確実に活動の場を広げているグループです。ある日の活動の様子をつづってもらいました。

 「おはようございます!」廊下に三々五々集まっているお年寄りによびかける声も自然に出るようになりました。
 「ひなた荘」での入浴介助のボランティアを受けた当初は、職員に教えていただきながらの着がえも、経験のない私に手足の不自由な老人のお世話ができるだろうか、と不安と緊張で、おそるおそるのお手伝いでした。
 浴室まで車イスで入ってくる人、つえをついてヨチヨチ歩いてくる人、そんな人たちの服をぬがせて浴場にいる職員にお願いし、今度は入浴を終わった人に衣服を着せますが、よくふいても体がしめっているので手間がかかり、次から次に出てくる人たちに衣服を着せながら私たちも汗びっしょりです。「ああ、さっぱりした。気持ちいいよ。ありがとう」というお年寄りの声を耳にし、さわやかな顔で部屋に戻っていく皆さんを見ると、汗にまみれた体の疲れも吹きとんでしまい、来てよかったと思うのです。
 自分の体が自由にならなくなって介助を受ける老人の、つらい情けない気持ちを思うとき、微力ながらもお世話できる幸せを感じます。この活動をとおして得た貴重な経験もこれからの人生の糧となるでしょう。できる人ができる時に、できるだけのお手伝いを、という気持ちで私たちは続けています。

『嵐山町報道』356号「まちかど探訪」 1987年(昭和62)8月25日
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