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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958

私の前半生

            遠山 杉田千

 百姓をきらって現在の夫と結婚したのが昭和十五年(1940)、新世帯もつかの間希望も夢も一挙にかなぐりすてなければならなかった。それが大東亜の開戦(1941)であった。夫は南方戦線に、私は現在の長女妊娠五ヶ月の身重であった。世の女の当面する取越苦労をいやと言う程あじわい、昭和二十年(1945)の終戦をむかえた。横須賀よりの帰郷、混乱せる社会、百姓を好まなかった私が一家の中心となり肥料の施し方、品種の選び方、養蚕の飼育への努力、農村の不況を打開しのりきる為に夫には働きに出てもらう。思へば運命の皮肉な廻転をうらみました。
 嫁であり妻であり子へのよき母にならんと我が身のつかいわけに随分と苦労をいたしました。唯一のいこいの一時、乳のみ子をねかしながら読まんとする新聞も昼のつかれに三面記事の、見出しが目にはいるとうつらうつらとしてしまい、若かった日の希望もどこえやら。でも今は三人の子供の母として長女も十六才、何かと相談相手になり、一日一日希望にもえて農家のことも一部を身につけ、過去の主婦の如く生活を苦しむのではなく、生活を楽しむ家庭の建設に一生懸命です。

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
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