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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号1958

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『つどい』創刊号の表紙

三十三年度によせて

               会長 水野ふさ子

 菅谷地区婦人会も誕生致しましてから七年余り、起因皆々様はもとよりのこと関係各方面の方々の御協力により順調に成長してまゐりまして、子供なら小学二年生、会もどうにかその性質やらあり方など、皆様方に御理解して頂ける様になり、会員の方々も自ら機会を求めて勉強してゆこうという意欲が高まってまゐりましたことは会の発展の為に喜ばしいことでございます。この様な時に会の責任者として微力を尽すことになりましてその責任の重大さを痛感してゐる次第でございます。
 もともと民主団体としての婦人会は会長や役員だけが会を運営して行くものではなく、会の推進力となるものは会員一人一人の力なのだという様に考へました時、ここ一年皆様と共々一歩なりとも前進出来ます様努力してまゐりたいと存じます。
 婦人会も多忙な主婦達の集りです故、その役員組織や運営などについてもまだまだ沢山の課題が残されてゐると思います。会の運営のためには役員の任期は長い方がよく、さりとて選出の場合は短い方が容易である。この様な矛盾の中に会を一歩一歩前進させて行くと云うことは非常に難しいことと思います。本部支部とも会長支部長をつとめた方の幾人かは何時も何れかの形で役員組織の中に留まり、時には水先案内になり、時には後援者となって暖かい気持で運営を見守って頂ける様な和(なご)やかな役員間の人間関係があってこそ、会の発展を期することが出来るのだと思います。まして当地区の様に役員が一年交替ということでは尚更のこと、新旧役員は仲のよい姉妹の様な気持で不馴れな為多少の不手際はあったとしても総て善意に解釈して、会員相互の親睦を計りつつ共に自分を磨き地域の発展に役立って行く、という本会の趣旨に沿う様心掛けて行きたいと思います。
 先日菅谷青年団の役員名簿を見せて頂いて感じましたのですが、婦人会員より家庭的に自由な立場にある青年団でさへ団の主要な事業を各部門に分けて、正副団長、部長という様な本部の役員組織になって居りますが、婦人会もこの様な点について大いに学ぶところがあるように思われます。
 次期会長の選出が会の事業より難かしいとさえ云はれるのは、主婦の立場としてあまりにも会長の任務が重荷に考へられるのではないでしょうか。会の活動が活潑になればなるほど役員の組織も検討して見る必要があると思います。会の各部の責任をそれぞれに役員が分担することによって会長選出の問題も幾分か解決されて行くのではないかと思います。このほど会も縦の関係横のつながりと各方面との会合の機会も多くなりましたが会として社会的視野を広めるためにも責任者として出席させて頂く様心掛けたいと存じますが、その為にも役員の在り方など一考を要する問題だと思われます。本年度はその第一段階と致しまして会の重要事業についての係を選出して頂きまして、それぞれお骨折頂くことにしました。
 卅三年度も暦の上では半を過ぎましたものの会の事業はまだその緒についたばかり、農閑期を待って七五三の祝、青年と婦人との座談会、婦人学級等、皆様で企てた計画が山積して居ります。何卒折角の勉強の機会に一人でも多く出席出来ます様に、平常からそのつもりで色々な角度から家庭環境を整えておく様に心掛けてまゐりたいと存じます。会合へ出席し難いということは、家庭や地域社会の無理解などということより、むしろ私達女性の持つ消極性に起因してゐる様に思われてなりません。自分を磨いて行くのに遠慮は無用と思います。みんなで話し合いの中に正しい批判力を身につけて、話せる、書ける、実行力のある女性になりたいと思います。
 めまぐるしい時代の進歩に遅れない様、伸びて行く子供達に一緒について行けなくとも、せめて手の届くところ、後姿の見えるところについて行かなければ、母としての務は果すことは出来ないと思うのです。自分をはじめ家族の幸のために、明るい地域社会を作るために、私達は手をたずさえてべんきょうしてまゐりましょう。一年一年菅谷地区婦人会の前進の足跡が見られます様に。

本年度会員の年令調査を実施して

 20代  9.4%
 30代 38.1%
 40代 32.2%
 50代 16.4%
 60代  3.9%

 年度始めに会員名簿を作製の折、年令を調査致しましたので、パーセンテージを出してみましたら上記の様になりました。他の地区に比べて五十代の方が少ない様に思はれますが、女性も五十代が一番家庭的にも安定し社会人としても働ける年代ではないかと思います。
 お嫁さんを貰ったからとて直ぐに引込んでしまわないで、今迄の生活体験を生かして会の為に御骨折頂き度いと思います。六十過ぎてもその時の都合により又会の内容により、若い方と交替で時々出席して頂き、お祖母さんもお母さんも一緒に勉強して行ける様な婦人会の姿を切望して止みません。

菅谷地区婦人会『つどい』創刊号 1958年(昭和33)11月
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