第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動
菅谷婦人会『しらうめ』第16号1996
娘へ
平沢 西照子
母が主人に「二十年あっという間だったでしょう。」と言うと「いいえ、ここまでするのに長かったですよ。」と主人は言った。私は、生まれたのが昨日の事のような気がするのに……。
菅谷婦人会『しらうめ』第16号 1996年(平成8)3月
前の日「明日は稲上げをやっちゃいましょうか?」と言ったのに予定より早く生まれて、小雨は降っているしどうしたかな?と病室の窓を眺めていると、そのうちに主人が来て「義兄や姉さん達が手伝ってくれて全部上げたよ」と言った。今でもその時の話がよく出る。
いつまでも子供だと思っていたのに着飾った娘を見たら急に淋しくなった。何故だろう……。
姪が嫁ぐ日、義兄が声を出して泣いた。その時は、男親って「ああなのかなぁ?」女親は自分が嫁に来た身だから「きっと違うんだな?」とその時は思ったが、今の自分のこの淋しい変な気持ちからすると我が子がそうなった時私はどうなるんだろう……。
「二十歳を過ぎたら歳を取るのが早いよ。」伯母に言われていた。本当にそうだ。いくつになっても気持ちだけは若いつもりでいるのに、あっという間に歳を重ねてしまった。
娘へ、難しいかもしれないけど、悔いのない人生を送ってね。