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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷婦人会『白梅』第1号1980

秩父札所めぐりに参加して

            佐々木ユ基

 五月二十二日菅谷婦人会、町教育委員会共催の秩父札所めぐりに参加させていただきました。その日の思い出をたぐりつつ感想の一端を記させていただきます。
 参加者は五十余名、二台のマイクロバスに分乗してまいりました。秩父路は緑の中に白いアカシヤの花が咲き香り、春たけなわの頃でした。
 参詣した寺は、五ヶ所(一、四、三十一、三十二、三十三)。
 先づ第一番は誦経山四万部寺。ご本尊は聖観世音(四番寺以外は同じ)。山門を入り、正面の入母屋造りの本堂は、元禄十年の建立で、県の指定文化財でもあり、古美術的な美しさがひとしおでした。
 第四番 高谷山金昌寺。ご本尊は十一面観世音。バスから下りて細道を登ると山門。それは仁王門で秩父地方の代表作といわれる立派なものです。金昌寺で心に残るのは、境内せましと安置されている石仏群です。一三一九体もおわすとか。もう一つ忘れられないのがマリヤ観音。あのやさしい顔立ちの子育観音!こどもに乳を与えているその姿はなんとも印象深く忘れがたい。
 第三十一番鷲窟山観音院。水子地蔵で知られる地蔵寺前でバスを下り、暫く小道を行くと石の仁王様の山門、それより道けわしく進んで本堂、この寺は畠山重忠のゆかりの寺……。本堂左手の滝とその岸壁には爪掘千体仏といわれる磨崖仏が刻まれている。それの自然風化が懸念される。
 第三十二番 般若山法性寺(別名 岩船観音)。奥の院の巨大な岩石が船の形をしており、御本尊が岩船に乗って到来したという縁起にふさわしく頂上の岩石の中に御堂があり、神秘的な霊気がたゞよう。是非脚を鍛えておき再度の参詣をと願う寺の一つです。
 第三十三番 延命山菊水寺。観音堂が本堂形式の土間のある堂でした。
 その他、往復のバスの中での皆さんとの歌や語らい、山川草木、秩父の大自然にひたっての一日。まことに筆舌につくしがたいものが次々と浮びます。

  風ぐるま御手に持ちます石仏の
     水子地蔵は並びいませり
  授乳するマリア観音慈悲あふれ
     抱く赤子の顔の笑ましき

菅谷婦人会『白梅』第1号 1980年(昭和55)
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