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第6巻【近世・近代・現代編】- 第8章:女性の活動

第1節:婦人会

菅谷婦人会志賀支部 文集『あゆみ』1960

或る婦人会のてぬぐい

            内田みつ

 お風呂へ入って前を見た。それはまだうすら寒い頃だったろうか。風呂番の掛けざおにかけられた手ぬぐいに庚申様の「見ザル、聞かザル、言わザル」の三つの姿があった。あ!!これだなと直感した。井戸端会議に又はお茶のみ話には必らず人のうわさが始まる。悪く言えば悪口とも言えるでしょう。或る人が一寸の事で悪い事をしたとしても、それが事実であり、本当の話でも……それが次から次から次へと話して歩くのは良くない事だと思います。そんな時私は「見るな、聞くな、話すな」と言いたいと思います。私達は今や男と同一の権利を持っている大人です。もう少し良い事だけを見たい、そしてききたい、そして話したい。そうする事が婦人の向上であり、明るい社会への第一歩ではなかろうか。

菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
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