第6巻【近世・近代・現代編】- 第7章:文芸・学術・スポーツ
俳句
報道俳句
田植笠泣く兒に列を離れ來る 内田可洲
石鹼玉管離れんとしつつ消ゆ 芳月
釣人の影を沈めて花の淵 楓月
風呂済めば十二時近し麦の秋 松翠奥秩父を旅して 大野比呂志
襞を這ふ夏雲に佇ち登山宿
ケーブルや脚下夏雲かすめ過ぐ
道も狭に深山薊(みやまあざみ)と紫陽花(あじさい)と
雲取に雲の去來や閑古鳥(かっこう)鳴く武蔵 嵐山音頭 小林波久士
『菅谷村報道』3号 1950年(昭和25)6月20日
山は大平傘松にかゝる霞は山櫻。
前は塩山鶯鳴いて渡る嵐山花の谷。
渡る槻川若鮎躍り西は嵐山小倉城。
そゝぐ春雨夜の中はれて麦のせのびが目に見える。
揃ふ穂麦がゆれてく先に、桑を摘む娘の紅だすき。
秩父連山霞んで遠く、川は流れて野を廻る。
(秩父音頭の節で歌ふ)