ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第4章:教育・学校

第4節:社会教育

4Hクラブ

比企郡下初の菅谷4Hクラブ發足
           会長に長島宗作君

 「4Hクラブ」というのは、一般の人には耳新しい言葉だと思うが、此のクラブはアメリカで發達した農業普及制度の一部で各部落の指導者が中心となつて、青少年を指導する組織で、三十五年前から「スミスレバー法」に依りアメリカでは立派な成績を擧げてゐる。
 我が國でも昨年度から普及制度が始められ十才から二十五才迄の青少年を対象として改良普及員が中心となり村長始め村の各種関係團体幹部、農業改良委員が協力者となつて青少年の、男は農業、女は家事の年に一つ以上の課題を選んで研究し、社会のためになる様な事業のやり方を教へ会合の運営方法事業計画のたて方を訓練し、これ等の仕事を通じて共同精神を養ひ、責任観念を値付(ママ)けて、將來立派な社会人としての人格を涵養し技術的にも教養を高めて行く云はば社会教育を自主的訓練に依つて行うことを本來の目的としてゐるもので次代の民主的農村経営者を作る自己的訓練の組織である。このクラブの信条は、
一、頭脳 HEAD の訓練をして物事を考え計画し分別する力を養う。
二、心 HEART の訓練をして親切で同情心に富み誠実なる人となる。
三、手 HAND の訓練をして他人に役立つ有用で優れたわざを磨く。
四、健康 HEALTH の訓練をして、人生をたのしみ病氣に打ち勝ちそして仕事の能率を上げる。
4Hとはこの頭脳、心、手、健康の四つの英語の頭文字をとつてつけられたものである。
 本村に於ては菅谷七郷地区が四Hクラブのモデル地区に選ばれた為に、岡部農業改良普及員及び農業改良委員等有志の援助に依り比企郡下の町村に先んじて、一月二十三日菅谷中学校庭に於て縣農業改良課長出席の下盛大な発会式を擧行した。その組織及び役員は次の如くである。

・会長
・副会長
・支部委員
 川島、菅谷、平沢、千手堂、鎌形、遠山
・部長
 農業部長、文化部長、体育部長、家庭部長
 青年部長 クラブ会員(二十五才まで)
・書記
・会計
 中学部長 中学部 クラブ会員
 菅谷小学部長 菅谷小学部 クラブ会員(小学五、六年生)
 鎌形小学部長 鎌形小学部   〃      〃

会長長島宗作、副会長大野角造、青年部長吉野栄一、農業部長儘田弘三、文化部長山下賢治、体育部長内田満、書記大野昌三
 長島會長談=此のクラブは今迄の青年組織たる奉仕的青年とは異なつて総ての事業を自主的に運営し、男子は農業経営の改良に、女子は農村生活の改善に其の研究目標を選んでゐるのが特色であります。本年一月二十三日発足以來数次の委員会を開催し会の組織の強化並に食糧増産の方法農業経営改善について討論を続けて今日に至りました。今後は尚一層会を強化して皆様の御期待に添う様努力致します故村民各位には「クラブ」の目的を好く御理解下され、御指導を御願致します。

『菅谷村報道』1号 1950年(昭和25)4月20日
このページの先頭へ ▲