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第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政

第5節:報道委員会と『菅谷村・嵐山町報道』

草の根フォーラム

議会傍聴はおもしろい

 6月中旬に行われた定例第2回町議会の傍聴にこられた皆さんから、感想をいただきました。


モニターテレビの同時放映にびっくり

       志賀 高橋 芳子

 数年来、新聞の切抜学習をしている者ですが、テレビ、ラジオ等でよく議会の放送を見ていました。でも一番身近な町議会の傍聴は初めてでした。
 新庁舎での議会傍聴の機会を得て、胸おどらせながら行きましたがよく聞こえませんでした。
 帰るとき、玄関ホールを通ったら、議会の様子がホールのモニターテレビで、同時放映されているのを見てびっくり致しました。


初めての傍聴席

       志賀 米山 澄子

 六月十三日私たち新聞を読む会のグループ五名は新築の香りゆかしい庁舎に六月議会の傍聴にまいりました。まず議場の広さにびっくり、天井がとても高いのが印象的でした。町長さんはじめ総員に近い議員さん、大勢の役場職員さん方が一堂に会した議会は私には初めてでしたので、改めてこの方々が町政を担っていらっしゃるのだと敬意を表したい気持でした。同時に町民の声もしっかり受けとめてと願わずにはいられませんでした。一段と高い席の議長さんの進行のもと会議は熱心に討議されていられる様でしたが、残念なことに傍聴席には内容が断片的にしか聞こえず途中退席の止むなきに至りました。何とか善処していただいて次の機会にはすっきりした気持で傍聴したいと思っています。


一般質問が少ないのでは

       志賀 鞍貫 ミキ

 新しい庁舎ができ、町議会議場も今までとは比べものにならない立派さです。
 私は昨年の九月議会まで議員として旧庁舎議場で働かせていただきました。町議会傍聴は昨年十二月と今年の三月議会そして今回の六月議会です。
 新しい議場で一人の町民の立場で傍聴を致しましたが、一般質問をされた方が議員定数二十名中六名と少ないのに驚きました。もっと多くの議員さんに質問に立っていただき、町を活性化するための論戦を展開し、町民の利益を守り町民が住んでいることによろこびを実感できるよう新しい視点に立った議会内容であって欲しいと思いました。
 いま「住専問題」や消費税率アップで町民としては町の対応が大きな関心事となっています。
 町も借金財政で苦しい状況なのでしょうが国や県からの補助金のカットや、福祉行政の後退などで町政に責任が転嫁されようとしている時に、町の姿勢が国や県の言いなりになっているようでは余りにも悲し過ぎます。
 弱い立場の町民を守ってこそ自治体の役割が果せるのではないでしょうか。
 消費税率が3%から来年4月には5%になることについて国民の八割が反対している(毎日新聞世論調査)にもかかわらず強行されようとしています。そのような国の決めたことであろうとも、嵐山町として町民本位の行政を行う姿勢を示してほしいと思っている多くの町民の声に背をむけるような執行部の答弁にはいささか失望しました。
 今後は、福祉や教育、暮らしや営業、環境問題など町民の切実な願いの声の反映を議会傍聴できることを楽しみにしています。
 次に傍聴席で感じたことは、せっかくの熱心な対論がハッキリ聴きとれなかったことです。そのことは他の傍聴者の方も同じ思いをされたことなので、あるいは設計上に問題があるのではと話しながら懸命に聴く努力をしたので本当に疲れました。
 九月議会には改善されたところで安心して傍聴できることを願っています。


中間説明がほしい答弁

       志賀 武谷 敏子

 2日目の一般質問で、ある議員が女性問題に関連してつぎのような質問をしました。
 「(嵐山町)女性行動計画策定懇談会がプラン作成中だが、長として世界女性会議北京行動綱領を町行政にどう反映させるか」と。
 「行動計画の完成をみてからにしたい。また管理職の研修は考えていない」と町長の答弁でした。
 プラン作成に関わるものにとっては全く意欲を失うようなものでした。
 議会答弁というものはどうしてこうもそっ気ないのでしょうか。「考えている」とか「考えていない」とか、「する」とか「しない」とか。
 総じて議会答弁は結論だけで、何故そうした結論に至るのか、中間の説明がありません。
 それはさておき、議会傍聴から旬日の後のことです。
 国立婦人教育会館を利用したある地方都市の職員研修に出会いました。
 市職員(女性のみ)のごく一部ということでしたが、約四十名が〝女性学〟について学習した様子です。
 「エンパワーメントとか、ジェンダーとか、初めてきいた言葉だ……」というからには、彼女らは女性問題についてそれほど詳しくはないことが推察されます。
 そう思ってあらためて見なおすと、どうやら管理職ではなさそうです。
 研修の成果はさておき、バス一台を仕立てて四十人もの職員を、埼玉県まで女性問題の学習に英断を下したK市の市長さんに敬意を表したくなりました。
 すくなくとも女性問題に限ってとらえるなら、あまりにも対照的な二人の首長といえるでしょう。
 ちなみにこの市には行動計画はまだ作られていないそうです。

エンパワーメント=力をつけること。
ジェンダー*1=生物学的な性別を示すセックスに対して、社会的、文化的に形成された性別。

『嵐山町報道』458号「草の根フォーラム」1996年(平成8)8月1日

*1:ジェンダーは、生物学的性差であるセックスに対して、社会的・文化的な性差を意味する用語とされてきたが、男性・女性という二元論がすぐに連想される「性差」や「性別」ではなく、より包括的に「社会的・文化的な性のありよう」と意味で理解すべきという主張がある。斎藤環『関係する女 所有する男』第1章(講談社現代新書2008)。

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