第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政
嵐山町
ISO14001を取得しました
町では、現在の豊かな自然環境を保全し、より良い環境を創造して、次の世代を生きる子孫に引き継ぐことを責務と考え、環境に与える主要な要因を継続的に改善するため、職員自らISO(国際標準化機構)14001の認証取得に向けて取り組んできました(11月1日号参照)。8月に町長が環境方針を策定し、実現のための環境マネジメントシステムを確立して、昨年12月、県内町村で2番目にISO14001の認証取得をしました。
ISO14001環境マネジメントシステムの特徴
環境マネジメントシステムとは、環境に配慮した組織運営を行うためのしくみで、一種の管理手法です。その特徴として、以下のようなものがあります。
①PDCAサイクルによる継続的改善
Plan(計画)→Do(実行)→Check(点検)→Action(見直し)の4つのステップを繰り返し行う、PDCAサイクルに沿って構築されます。(図右)
②審査制度
第三者機関による審査制度を導入しています。
③全員参加
自治体を例にとると、首長の下に全職員が参加し、環境面での指揮命令系統が整備されます。そのためには、全職員の参加により、システム構築〜システム運用を推進することが欠かせません。
④文書化
「手順を確立し、維持すること」が求められており、環境マニュアル、規程、運用手順書などを作成します。ISO14001の認証取得とは
ISO14001規格は、環境マネジメントシステムを構築する上での17項目の約束事(要求事項)を定めています。
構築された環境マネジメントシステムがISO14001規格のすべての要求事項を満たしているとき、「ISO14001を導入している」と宣言できます。その際、組織は、第三者(審査登録機関)による環境マネジメントシステムの審査を受け、規格適合性が証明された場合に、「ISO14001の認証を取得した」ことになり、登録証が発行されます。自治体ISOの意義と効果
自治体においては、地域に置ける一事業所として事務・事業の執行に伴う環境負荷を減らすことが求められると同時に、地域において率先して環境マネジメントシステムの構築に取り組む意義は大きいと考えられています。
[地球環境への効果]
①庁内での電気やガソリンなどの燃料、紙や建築資材など資源の消費を減らし、環境への負荷を減らすことができる。
②再生紙や低公害車など、より環境への負荷が低い製品に置きかえることにより、環境配慮型製品の流通ルートの確保や市場の形成に寄与することができる。
[住民や事業者に対する効果]
①自治体が率先して環境保全に取り組む姿勢を住民や事業者に示すことができる。
②住民や事業者に対する普及啓発が期待できる。
③自治体が環境マネジメントシステムのノウハウを持つことができるため、事業者に対して適切な支援・指導ができる。
[自治体内部での効果]
①職員全体の日常業務での協力が不可欠なため、環境施策全般に関する意識の向上が期待できる。
②事務作業の効率化や経費の削減が期待できる。
③第三者による外部監査を定期的に受けることにより、事務・事業の評価や改善のための進行管理を徹底することができる。本町による取り組み
ISO14001認証取得までには、初期調査の実施や環境目的・目標の設定、文書類の作成などの作業を行って環境マネジメントシステムを構築し、次に、構築したシステムに基づいて実際に環境管理活動を実施・運用します。さらに、運用しながらシステムの不具合を是正し、審査に臨むことになります。
町では、これらの認証取得作業の準備を6月から始め、9月からシステム運用を開始しました。運用開始後、内部環境監査、環境管理総括者(町長)のシステム見直しを実施し、外部審査機関による2回の審査を経て、12月17日に認証取得しました。
その適用範囲は役場庁舎と健康増進センターで、そこに配属されている職員(臨時職員、常駐する委託業者等を含む)と実施されている事務事業が対象となっています。
なお、認証取得後は、1年ごとのサーベイランス(定期維持審査)、3年ごとの更新審査を受けることになります。町の主な環境目的・目標
町の事務事業における活動のうち、環境に大きな影響を与えたり、町の取り組みによって環境保全上の効果が期待できるようなものなどを、より改善していくために環境目的・目標を設定しました。
主なものは次のとおりです。
●グリーン購入の推進
・グリーン購入品目の把握
・グリーン購入手順書を作成し推進する。
●庁舎内における省エネ・省資源・リサイクルの推進
・庁内エコ管理手順書の作成
・ゴミの分別・リサイクルを推進するとともにその発生量を把握する。
・公用車の燃料使用料、紙の使用料、電気の使用料を3%削減(対12年度実績)
●環境に関する補助制度の普及啓発
・補助制度に関する広報活動の推進
●環境美化の推進
・美化清掃活動への参加者数1万人達成
●生活排水対策の推進
・公共下水道整備率46%達成
・小型合併処理浄化槽の補助35〜40件
●環境への意識高揚のための普及啓発
・環境関連イベント等への参加者数1万人達成
●環境に配慮した工事の実施
・環境配慮した工事実施のための手順書の作成
●廃棄物の減量とリサイクルの推進
・建設副産物の発生量及びリサイクル量の把握
常にスパイラル・アップ
環境マネジメントシステムは、環境の保全・創造を支えることを目的として、あらゆる種類・規模の組織に適用でき、さまざまな地理的、文化的及び社会的条件に適用するように作成されています。
この環境マネジメント全般の国際標準規格であるISO14001の認証取得によって、全職員が環境管理活動を継続的に実践し、自主的に改善を図っていくこと(継続的改善を図るスパイラル・アップ)が不可欠となり、一人ひとりがマネジメント能力を身につけることで事務作業の効率化や経費の節減を図ることになります。
さらに省エネルギーや省資源、リサイクルの推進などを通じて地球規模での温暖化対策にわずかながらでも貢献し、今後、行政と町民、事業者の地域一体となった環境保全活動への取り組みができるよう努力していきます。問合せ ISO推進事務局 庶務担当 環境課 環境政策係【内線番号省略】
嵐山町広報『嵐山』115号 2002年(平成14)2月1日