第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
三、村の生活(その二)
第2節:家普請(二) 村の協力
村の共同事業
これと全く同じというわけにはいかぬが、私たちの村々でも、家ぶしんは大体右【前】の例に共通した点が沢山あったと思われる。村人の協力手伝いはすでに見た。建築費の調達についても、それらしい実例をあげることが出来た。微力(びりょく)な百姓が立派な家ぶしんを果した理由はここにあったのである。村人の協力援助が重要な推進力であった。いやそれは唯の推進力ではない。家ぶしんは村全体の承認の下にはじめて実施出来るのである。家ぶしんは、私的の個人的な事業ではなく、いわば村全体であり、村の共同事業であった。
『嵐山町誌』(嵐山町発行、1968年8月21日)