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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第9節:寺院・神社・堂庵明細帳

比企郡寺院明細帳

埼玉縣管下武蔵国比企郡鎌形村(かまがたむら)字殿ヶ谷戸(とのがいと)
 同縣同国入間郡龍ヶ谷村龍穏寺*1
  曹洞宗(そうとうしゅう) 了庵派*2(りょうあんは)

班溪寺(はんけいじ)

*1:龍穏寺(りゅうおんじ)…埼玉県入間郡越生町龍ヶ谷の長昌山龍穏寺。本尊釈迦如来。江戸時代には総寧寺(そうねいじ)(現・千葉県市川市)、大中寺(だいちゅうじ)(現・栃木県栃木市大平町)とともに曹洞宗の関東三ヵ寺(関三刹)の一として関東の曹洞宗寺院を統括する僧録司だった。
*2:了庵派(りょうあんは)…南北朝・室町時代の曹洞宗の僧・了庵慧明(りょうあんえみょう)(1337-1411)を派祖とする日本曹洞宗の門流。了庵慧明は通幻寂霊の法をつぎ、1394年(応永1)、大雄山最乗寺(さいじょうじ)(現・神奈川県南足柄市大雄町)を開山。最乗寺了庵派は全国に4千余りの門流をもつ寺である。

一、本尊 釋迦如来(しゃかにょらい)
一、由緒(ゆいしょ)
 建久(けんきゅう)元年(1190)十一月二十二日創立。当寺ハ木曽義仲長男清水冠者義高(よしたか)阿母*1威徳院殿班溪妙虎大姉ノタメニ創立スト云。妙虎大姉(みょうこだいし)ハ山吹姫(やまぶきひめ)ノ法号*2ナリ
    昭和十七年  月  日 規則ヲ認可ス

一、本堂 間口八間 奥行七間

一、境内 千二百五拾四坪 官有地第四種

一、庫裡(くり) 間口七間 昭和廿三年四月廿四日 一三五五坪八七 奥行六間

一、衆寮*3 間口五間三尺 奥行三間

*1:阿母(あぼ)…母を親しんでいう語。
*2:法号(ほうごう)…戒名。
*3:衆寮(しゅりょう)…修行僧の宿舎。

一、鐘楼(しょうろう) 間口壱間二尺 奥行壱間二尺

一、土蔵 間口二間三尺 奥行三間三尺

一、表門 間口壱間二尺 奥行壱間

一、裏門 間口壱間一尺 奥行五尺

一 境外所有地
田(た)反別(たんべつ) 五畝廿七歩 鎌形村字石代
 地價(ちか) 金四拾円六拾貮銭貮厘
田反別 壱畝壱歩 同村字番匠免
 地價 金六円五銭九厘
田反別 四畝廿二歩 同村字曽利町
 地價 金貮拾七円七拾貮四厘
田反別 拾四歩 同村字同所
 地價 金貮円五拾七銭
田反別 七畝廿歩 同村字同所
 地價 金五拾円拾六銭九厘
田反別 三畝六歩 同村字同所
 地價 金貮拾円九拾三銭
田反別 八畝廿六歩 同村字同所
 地價 金四拾八円八拾三銭八厘
田反別 四畝廿六歩 同村字高城
 地價 金拾八円四拾五銭貮厘
田反別 四畝六歩 同村字同所
 地價 金拾五円九拾七銭三厘
田反別 貮畝歩 同村字北中島
 地價 金拾壱円七拾銭五厘
畑反別 八畝廿貮歩 同村字殿ヶ谷戸
 地價 金拾七円七拾銭
畑反別 壱反三畝壱歩 同村字北原
 地價 金拾八円九拾四銭壱厘
畑反別 九畝拾九歩 同村字南門
 地價 金拾七円三拾貮銭
畑反別 貮反六畝貮歩 同村字東上原
 地價 金貮拾八円九拾壱銭七厘
畑反別 貮畝廿九歩 同村字清水
 地價 金三円貮拾九銭
畑反別 四畝八歩 同村字東上原
 地價 金四円七拾貮銭八厘
林反別 三反壱畝拾八歩 同村字亀ノ原
 地價 金四円七拾四銭
林反別 貮畝拾三歩 同村字上ノ臺
 地價 金三拾六銭五厘
林反別 七畝八歩 同村字南中島
 地價 金壱円九銭
林反別 七畝拾七歩 同村字南原
 地價 金壱円拾三銭五厘
林反別 三畝廿八歩 同村字西上原
 地價 金五拾九銭
薮地反別 六歩 同村字北中島
 地價 金六厘

一、檀徒(だんと) 五百五拾五人

一、管轄廰(かんかつちょう)迄 拾壱里
                     以上

山林 壱畝拾九歩 鎌形字殿ヶ谷一九一〇番イ号
 地價 金貮拾五銭

「昭和38年度文書 埼玉県学事課 比企郡寺院明細帳(一)」

班渓寺(2003年5月22日撮影)

班渓寺|写真1

班渓寺|写真2

班渓寺|写真3
前大乗九十翁愚禅


班渓寺|写真4
天神社

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